本番は緊張するものですが、緊張によって激しく手が震えると演奏が破綻してしまいます。
あがり症はメンタルや根性の問題ではありません。あがりやすい人は確かにいます。
もしも、あがりやすい性質で、それでも演奏したいなら、それなりに準備が必要です。
ということで実践・練習編です。
- コンディション編はこちら
- マインド編はこっち
- 実践・練習編はこの記事
何のために練習するのか
練習を始める前になぜ練習するのか確認しましょう。
音楽は作品と演奏者と聴く人がいてこそ成り立つ世界です。
何を実現したいのか明確でなければ、聴く人に伝わりません。
そのための4つの質問です。
- 音楽はあなたにとって何ですか?
- 演奏するはどういうことですか?
- その作品は一体何ですか?
- 何を実現したいのですか?
この4つの質問に自分の答えを持ちましょう。
目指すものがはっきりしなければ、そもそも準備のしようがありません。
本番という極限状態(オーバーに聴こえるかもしれませんが感覚的にはそうです)で、絶対に手放してはいけないものが何なのかを明確にするのが準備として大切です。
心底惚れている曲を弾く
選曲は重要です。
好きでもない曲、共感のない演奏をしても聴く人に伝わるわけがありません。
弾きたくて弾きたくて、弾かずにいられないから弾くのですよね!つまり、
心底惚れている曲を弾く
これが一番大事です。
自分自身の全てを捧げてもいい!そう思えるほど惚れていなければどんなに指の練習だけしたって”音楽”にはなりません。
指の前にフォームありき
ピアノを弾くというと指の問題ばかりが取り沙汰されますが、指が自由になるためには身体が安定していなければなりません。
フォームが大切です
すなわち、まず座り方です↓

座るフォームが悪いと力を入れるべき所に力が入らず、要らない所に力が入ってコントロールも悪くなりますし、疲れます。
ただ何となく椅子に座る、ではなく、ピアノを弾くための演奏フォームとしての”座る”の重要性を認識しましょう。
リラックスではなく臨戦態勢を整える
本番の緊張について、「リラックスしろ」というアドバイスは全くナンセンス!
臨戦態勢で臨み、つまり力を抜くのではなく、入れるべき所にしっかり入れるように準備します。
身体やエネルギーの使い方を意識する
緊張した際に指が震えるという現象について、震えを最小限にする、そして震えても弾けるようにするために練習で意識したいのは身体とエネルギーの使い方の意識です。練習の目的のひとつは、その最適状態を自分でコントロールできるようにためにあります。具体的には
- フォーム(特に下半身、すなわち足と脚の意識、座骨や骨盤の意識)
- 中心(いわゆる丹田)
- 軸(体幹)の意識
- 腕から手のポジション
- 鍵盤に触れる指の意識
です。
これらを自覚しながら
1/4~1/2倍速のゆっくりなテンポで
- 左手
- 右手
- 両手
- ポリフォニーなら1声部、2声部、3声部・・・
あらゆるパターンで1~4小節くらいの小さな単位で練習します。
その音楽は何を表現しているのか
上記のような地味な練習は、とかく無味乾燥で機械的でつまらないものと誤解されていますが、あるべき素晴らしい音楽を実現するために欠かせない準備です。
たとえば、お菓子を作ることを考えてみてください。材料をそろえ、卵を割って泡立てる、その泡立て方でお菓子の出来が決まりますよね。たったひとつの音の響きや音色を追求するという練習は、演奏のイメージあってこそ!です。
本番で目指す”理想”
緊張状態で、指に意識が集中しすぎると余計に震えます。
本番は足から骨盤、背骨から頭のバランスが良好になるように意識して音楽が自分の内側から湧いて指先から鍵盤を通じてピアノから生まれるようなイメージを練習で高めましょう。
理想は遥か彼方であっても、そちらを目指さないことには永遠に現状のままです。
脳内練習とイメージトレーニング
実際に指が鍵盤に触れないと音は鳴らないし、演奏も生まれませんが、指を動かすのは脳なので、頭を働かせる練習は必須だし、きわめて有効です。
すなわち、脳内練習・イメージトレーニング。
私はこのふたつを自分の中で分けています↓
- 脳内練習は、文字通り頭の中で練習すること
- イメージトレーニングは作品のイメージを作ったり、実現したい演奏をイメージすること
呼び方は何でもいいですが、ともかく自分の中の音楽を育てましょう。
指に頼ってばかりいるのは、危険です。
こちらの記事も参照してください↓

人前で演奏する以外に人前演奏の練習は出来ない
上手く弾けるようになってから人前で演奏する、な~んて無理です。
人前で演奏する練習は人前で演奏する以外には出来ません。
経験は必要です。
練習会や弾き合い会に参加しましょう。
私は月2度くらいが適当ですが、人によっては毎週、それも毎週末どこかで弾いているという話も聞きます。自分のスケジュールや体力その他を考慮しましょう。
まとめ
あがり症のための実践・練習編まとめです。
- 何のために練習するのか明確にしましょう
- 心底惚れている曲を弾きましょう
- 指の前にフォームありきです
- リラックスではなく臨戦態勢を整えましょう
- 脳内練習とイメージトレーニング
- 人前で演奏する以外に人前演奏の練習は出来ません
- コンディション編はこちら
- マインド編はこっち
- 実践・練習編はこの記事

