本番は緊張するものですが、緊張によって激しく手が震えると演奏が破綻してしまいます。
あがり症はメンタルや根性の問題ではありません。あがりやすい性質の人は確かにいます。
もしも、自分があがりやすい性質だと自覚があり、それでも人前で演奏したいなら、それなりに準備が必要です。
ということで実践・練習編です。
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- マインド編はこっち
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前提|何のために練習するのか
練習を始める前になぜ練習するのか確認しましょう。
音楽は作品と演奏者と聴く人がいてこそ成り立つ世界です。
何を実現したいのか明確でなければ、聴く人に伝わりません。
そのための4つの質問です。
- 音楽はあなたにとって何ですか?
- 演奏するはどういうことですか?
- その作品は一体何ですか?
- 何を実現したいのですか?
この4つの質問に自分の答えを持ちましょう。
目指すものがはっきりしなければ、そもそも準備のしようがありません。
本番という極限状態(オーバーに聴こえるかもしれませんが感覚的にはそうです)で、絶対に手放してはいけないものが何なのかを明確にしましょう。
選曲は慎重に|心底惚れている曲を弾く
選曲は重要です。
熟考しましょう。
その作品に全てを捧げられるか
そもそも、弾きたくて、弾きたくて、弾かずにいられないから弾くのですよね!
弾きたくないなら、弾く必要はありません。したがって、
心底惚れている曲を弾く
これが一番大事です。
自分自身の全てを捧げたい!
そう思えるほど惚れていなければどんなに指の練習だけしたって聴く人の心を動かす”音楽”にはなりません。
本番を苦手克服の場にしない
真面目で超ストイックな日本人は、何かと苦手克服に走る傾向があるようです。
確かに苦手克服もある程度は必要ですが、しかし、本番は得意を伸ばし自分の良さを披露するべきです。
いつだったか浜松国際ピアノコンクールの審査員長小川典子さんがこんな意味の事をおっしゃっていました。
日本人は苦手克服を頑張るが欧米のピアニストは得意で勝負する。特にコンクールでは得意をアピールすべき。
苦手も度を過ぎると得意を伸ばすにも支障がありますから、放置しておいて良いとは言いません。
しかし、大事な本番にわざわざ苦手な曲を選んで苦労する事はないです。
あがり症の原因は、不安や恐怖です。
苦手を頑張るのは別の場ですればいい事。
大事な本番を徒労に終わらせるような事はやめましょう!
苦手をいくら頑張ってもせいぜいふつーにしかなりません。そのエネルギーは得意を最上級にするために使いましょう!
普段から色んな曲に触れておく
発表会にしろ、
演奏会にしろ、
本番の日程が決まってから曲を探して決めるというのはリスクが大きいです。譜読みも暗譜も早く、テクニックにも問題がなくて何でも弾けるというならともかく、どこかに少しでも不安があるなら気合で決めるのは無謀と言えます。
そのためには、普段から色々な曲に触れておくことです。具体的には
- 興味ある作曲家の作品を色んな演奏で聴く
~インプットなくしてアウトプットはありません。経験値を上げましょう。 - 初見演奏もかねてともかく自分の手で弾いてみる
~自分の手で弾いてみてわかる事が沢山あります。 - 弾きたい曲リストを作り、随時更新する
~聴いてみて「弾きたい!」と思った曲が必ずしも自分に合っているとは限りません。弾きたい曲をピックアップしつつ、自分の手に無理な曲は却下するなどして自分の弾きたい曲リストを作りましょう。
理想は
- 「弾きたい」気持ちに素直な「弾きたい」曲リスト
- 「自分に演奏可能」かつ「弾きたい」曲リスト
を作っておき、本番は2.「自分に演奏可能」かつ「弾きたい」曲リストから選ぶようにすれば、練習を始めてから
こんなはずではなかった・・・
と焦らなくて済むはずです・・・実際には、弾ける予定だったのに思わぬ難しさに気づかされたりしますが、それでも想定外は出来る限り少ない方がいいですよね。
震え対策|震えを限りなく少なくする&震えても弾けるようにする
「緊張すると手が震えて弾けない」悩みへの解決or改善は
- 限りなく震えを小さくする
- 震えても弾けるようにする
この両方からアプローチすることです。
震えても弾けると思えるかどうか
繰り返しますが、
あがり症の原因は不安や恐怖です。
緊張すると指が震えて弾けないという経験をすると、
震えたらどうしよう・・・
震えたら弾けない・・・
という不安や恐怖が増大し、ますます震えます。
でも、震えても弾けるならば震えても困りません。
震えても弾ける!
と思えれば、不安や恐怖は限りなく小さくなります。
震えたら弾けない⇒震えたらどうしよう⇒不安や恐怖が増大⇒ますます震える・・・という悪循環を断ち切ればいいんですよね。
指の前にフォームありき
震えたら弾けない⇒不安と恐怖で緊張が増す⇒ますます震える・・・という悪循環を断ち切るためには、震えを限りなく少なくすることと震えても弾けるようにすることですが、そのための大前提として
フォームが大切です
すなわち、まず座り方です↓
ピアノを弾くというと指の問題ばかりが話題になりますが、指が自由になるためには身体が安定していなければなりません。
座るフォームが悪いと力を入れるべき所に力が入らず、要らない所に力が入ってコントロールも悪くなりますし、疲れます。
ただ何となく椅子に座る、ではなく、ピアノを弾くための演奏フォームとしての”座る”の重要性を認識しましょう。
リラックスなんて無理!全てを音楽に捧げる
あがり症の人に、「リラックスしろ」というアドバイスは全くナンセンス!
リラックスできるなら指が震えるほど緊張しません。
マインド編でも書きましたが、リラックスなどという幻影を追い求めず、
自分自身の全てを音楽に捧げましょう。
リラックスはなく、入れるべき所にしっかり入れるように日頃からトレーニングします。
身体やエネルギーの使い方を意識する
緊張した際の「指の震え」に対しては
- 震えを最小限にする
- 震えても弾けるようにする
この両方向から準備していきましょう。
そのための練習で意識したいのは
身体の意識とエネルギーへの意識
です。
緊張した時に起きる自分自身の身体反応をコントロールするためには、日頃から自分の身体の使い方やエネルギーの使い方を自覚していなければなりません。具体的には
- フォーム(特に下半身、すなわち足と脚の意識、座骨や骨盤の意識)
- 中心(いわゆる丹田)
- 軸(体幹)
- 中心・軸⇒腕⇒手への意識とポジション
- 鍵盤に触れる指先の意識
です。
これらを意識した上で、呼吸と動きの関係を自覚しながら1/4~1/2倍速のゆっくりなテンポで
- 左手
- 右手
- 両手
- ポリフォニーなら1声部、2声部、3声部・・・
あらゆるパターンで1~4小節くらいの小さな単位で、あたかも完成した演奏の一部を拡大鏡で拡大したかのようにフォーカスして練習します。決して無味乾燥な音の羅列にならないように、どんなにゆっくりでも
- 音楽の流れ・フレージング
- 響き・音色
- バランス
限りなくファンタスティックに実現するようにしましょう。
1~4小節のような小さな単位で練習することは、
暗譜対策や、万が一事故が起きた場合に被害を最小にするためにも役立ちます。
どこからでも弾けるようにする練習にもなり、そういう準備こそが安心感にもつながります。面倒ですが頑張りましょう。
その音楽は何を表現しているのか
上記のような地味な練習は、機械的で無味乾燥でつまらないものと誤解されていますが、決してそうではありません。
実現すべき素晴らしい音楽を実現するために欠かせない準備です。
たとえば、お菓子を作ることを考えてみてください。材料をそろえ、卵を割って泡立てる、その泡立て方でお菓子の出来が決まりますよね。
演奏も同じです。ひとつのフレーズ、いや、たったひとつの音の響きや音色を追求する練習は、素晴らしい作品の演奏するために欠かせないプロセスです。
本番で目指す”理想”
緊張している時に、指に意識が集中しすぎると余計に震えます。
本番は足から骨盤、背骨から頭のバランスが良好になるように意識して音楽が自分の内側から湧いて指先から鍵盤を通じてピアノから生まれるようなイメージを練習で高めましょう。
理想は遥か彼方であっても、そちらを目指さないことには永遠に現状のままです。
脳内練習とイメージトレーニング
実際に指が鍵盤に触れないと音は鳴らないし、演奏も生まれませんが、指を動かすのは脳なので、頭を働かせる練習は必須だし、きわめて有効です。
すなわち、脳内練習・イメージトレーニング。
私はこのふたつを自分の中で分けています↓
- 脳内練習は、文字通り頭の中で練習すること
- イメージトレーニングは作品のイメージを作ったり、実現したい演奏をイメージすること
呼び方は何でもいいですが、ともかく自分の中の音楽を育てましょう。
指に頼ってばかりいるのは、危険です。
こちらの記事も参照してください↓
人前で演奏する以外に人前演奏の練習は出来ない
上手く弾けるようになってから人前で演奏する、な~んて無理です。
人前で演奏する練習は人前で演奏する以外には出来ません。
経験は必要です。
練習会や弾き合い会に参加しましょう。
私は月2度くらいが適当ですが、人によっては毎週、それも毎週末どこかで弾いているという話も聞きます。自分のスケジュールや体力その他を考慮しましょう。
まとめ
本番で手が震える人のための実践・練習編まとめです。
- 前提|何のために練習するのか明確にしましょう
- 選曲は慎重に|心底惚れている曲を弾きましょう
- 指の前にフォームありきです
- リラックスではなく全てを音楽に捧げましょう
- 脳内練習とイメージトレーニング
- 人前で演奏する以外に人前演奏の練習は出来ません
本番は緊張するものですが、演奏に支障をきたすようなひどいあがり症は日々の練習を無意味にするほどの破壊力があります。
”あんなに練習したのに大崩壊してしまった・・・”という惨めさは本当に辛いものですし、冗談ではなく消えたくなります。それでも、音楽が好きでピアノが好きでやはり人前で弾いてこそ!だと思うなら、それなりの覚悟を持って臨めば必ず改善します。
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