ピアノ演奏本番の緊張|あがり症改善はコンディションから

緊張で手が震えて本番がボロボロだった
あんなに練習したのに弾けなかった・・・

自己嫌悪で消えたくなります。

なぜ私の指は震えるのだろう
どうしたら震えなくなるのだろう
震えても弾けるようにするにはどうしたらいいのだろう・・・

私はとても悩みました。

あがり症と言うとすぐにメンタルの話題になりますが、そもそも性質としてあがりやすい人というのがいて、

あがり症というよりむしろ
あがり性だと私は思っています。

どんなに練習しても、イメージトレーニングをしても、激しく手が震えるようなあがり症は、根性やメンタルのせいではありません。

では、どうしたらいいのか、

  1. コンディション編(この記事)
  2. マインド編
  3. 実践・練習編

この方向からのアプローチが必要だと考えています。

まず、コンディションを整えましょう。

♪この記事を書いた人
Yoko Ina

音楽&ピアノ、自然、読書とお茶時間をこよなく愛しています

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不安や恐怖を出来る限り少なくする

あがり症の前提として、緊張の正体を確認しましょう。

本番で緊張するのは、人間の本能としてそういう風に出来ているからです。

すなわち人間は不安や恐怖を感じるとアドレナリンやノルアドレナリが分泌され、交感神経の活動が活発になり

  • 心拍数が速くなる
  • 手足が震える
  • 手に汗をかく
  • 顔が赤くなる
  • etc

などの身体反応が表れます。詳しくは↓

【なぜあがるのか】本番での緊張について知ろう
ピアノを弾いていて 何が悲しいって、 本番で思うように弾けないことほど悲しいことはありません。 あんなに練習したのに、 手が震えて思うように弾けなかった・・・ 頭が真っ白になって、 何を弾いているのかわからなくなった・・・ その惨めさは例え...

ということは、震えないようにする第1歩は

不安や恐怖を出来る限り少なくする

です。そのためには

  • 選曲
    ~チャレンジは尊いですが、無謀過ぎると不安と恐怖を増大させます
  • 準備
    ~準備不足で不安にならない人はそもそもあがり症で悩まないでしょう。

が大切なことは言うまでもありませんが、これは実践・練習編で詳しく書きます。

靴や衣装はストレスのないものを選ぶ

平常心の時には気にならないことが、本番のナーバスな状態では不安の原因になりアガリに拍車をかけます。たとえば


  • ~慣れない靴、履き心地の悪い靴は足元が気になる
  • 衣装
    ~締め付けるコルセットで呼吸が苦しい、裾を踏むのではないか・・・衣装が気になると演奏に集中できません

特に靴は大切で、見栄えだけで選ぶと苦労します。

エナメル靴はカッコいいですが、エナメルの硬さが気になるなら避けましょう。

ヒールの高さも見栄えではなくペダルを踏むのに安心なものを選びましょう。少しでも不安定に感じるとか、滑るのが気になるとか・・・普段なら何でもないことでも、本番という緊張状態では不安を煽り、アガリに拍車をかける可能性があります。

本番で、音楽に集中して演奏という時間と空間をエンジョイしたいなら、見栄えは二の次にして演奏を最優先にしましょう!

私は、普段は5cmくらいのパンプスも履きますが、演奏用はぺたんこのシルバーのバレエシューズです。色々試して、靴を履いていることを忘れるくらい足に馴染むものを見つけ愛用しています。ロング丈はもちろんくるぶしまであるスカートなら座ればヒールは見えませんし、もう手放せない”相棒”です。

靴も衣装も、自分にとっての心地よいを選びましょう。

幸せホルモン”セロトニン”を増やす

緊張するとアドレナリンやノルアドレナリンが分泌されて心拍数が上がったり筋肉の硬直とか手の震えが起きたりするなら、アドレナリンやノルアドレナリンをコントロールすればいいということになります。

その鍵を握るのがセロトニンです。

セロトニンはノルアドレナリン、ドーパミンと並ぶ三大神経伝達物質の1つで、ノルアドレナリン、ドーパミンのバランスを調整し、精神を安定させる作用があり、幸せホルモンとも呼ばれます。

セロトニンを増やしましょう!

セロトニンを増やす

のキーワードでググると詳しい記事が山ほどありますが、ざっくりポイントは4つです。

  • 日光を浴びる
  • 適度な運動
    ~比較的単調でリズミカルな有酸素運動
    (ウォーキング、ランニング、水泳、サイクリングなど)
  • 良質の睡眠
    ~つまり早寝早起き
  • バランスのとれた食事
    ~別途解説

な~んだ当たり前の事じゃないか・・・と思われるでしょうか、意外に出来ていない方も少なくないと思います。

練習も生活習慣も当たり前の基本が大切です。

セロトニンを増やす食事

日光を浴びる、
適度な運動、
良質の睡眠、
これらも健康あってこそ!

食生活は大切です。

食べるのは楽しみのひとつでもあって、ついつい好きなものばかり食べたくなりますが、幸せな本番のためにセロトニンを増やすことを頭の片隅にでも留めておきましょう。

セロトニンを増やす食事

でぐぐると具体的な食べ物と効用を知ることができますが、ざっくり要約すると、

セロトニンを増やすためにはトリプトファンを多く含む食品を摂る

です。

トリプトファンを多く含む食品の代表的なものをピックアップします。

  • 大豆製品
    ~豆腐、納豆、味噌、醤油など
  • 乳製品
    ~牛乳、チーズ、ヨーグルトなど
  • ナッツ類
    ~アーモンド、クルミ、カシューナッツなど
  • 赤身魚
    ~マグロ、カツオ、ツナ缶など
  • 赤身肉
    ~豚ヒレ、牛ヒレ、ロースなど
  • 鶏肉
  • バナナ

糖質ダイエットなど流行っているようですが、スイーツを減らすのはいいとして、主食の炭水化物を減らすのは人によると個人的には思っています。私はご飯やパン・パスタなどの炭水化物をそれなりに摂らないとパワーが出ず、バッテリー切れのようになるのでしっかり食べます。

なお、白砂糖は中医学やアーユルヴェーダなどでも取り過ぎに注意するよう言われますが、経験的にも気をつけた方がいいと思っています。

私は子供の頃から甘い物が大好きで朝から朝も昼も菓子パンでも平気で毎日お茶時間に洋菓子・和菓子を食べ続けていましたが(かつ食べても太らない)、思うところあって1/3~1/4に減らしたところ、ひと月ほどでイライラすることが少なくなり、持久力も上がって疲れにくくなり、かつ一晩寝ればすっきり回復するようになりました。

ホント、食生活って大切ですよ!

あがりやすい人は、感じやすく影響を受けやすい方が多いと思います。もしも、その自覚があるなら体調管理やコンディションには気を配りましょう。

幸せホルモンについてはこの記事が参考になります、必読!

食事時間とベストコンディションの関係を知っておく

何を食べるかと同じく重要なのが、食後どれくらいの時間がベストコンディションかです。

空腹だと集中力を欠き、パワーも出ませんが、食後すぐの満腹の状態では頭に血が回らず身体も重いです。

なので、自分にとっての食事時間とベストコンディションの関係を知っておくことはとても大切です。

私は、しっかり食べた後2~3時間がベストで4時間後が限界、5時間を過ぎるとバッテリー切れ状態になります。なので本番から逆算して食事の時間を決めたり、食事するほどではないけれど空腹でバッテリー切れが心配な時は温かいスープ(というか味噌汁)をスープジャーで用意していただくようにしています。味噌は大豆食品なのでトリプトファンを多く含んでいるからですが、実際、緊張している時には口にするだけでほっとします。

本番前に口にするものとして、私がよく聞くのは、バナナ、おにぎりです。

コーヒー、紅茶、緑茶に注意!カフェインはあがり症に拍車をかける

コーヒー、紅茶は愛すべき存在ですが、カフェインはあがり症に大きく影響します。気になる方は

カフェイン あがり症

でぐぐってみてください。

カフェインの代謝には個人差があり、代謝が遅い人や敏感な人は注意が必要です。

震えて困る人は、ひょっとしたらカフェイン摂取に注意するだけで改善するあるかもしれません。もしそうなら

”おめでとうございます\(^o^)/”

です。

なお、カフェインはコーヒー、紅茶、緑茶だけでなく、チョコレートやココア、風邪薬、エナジードリンクなどにも含まれていますので注意しましょう。

私は、紅茶が大好きで毎朝リーフティを淹れないと一日が始まらないほどですが、それでも、自分以外の人が一人でもいる場で弾く時には仲間内の練習会であっても朝は紅茶を諦めます。コンクールや演奏会なら3日前くらいからカフェイン断ちします。

なお、毎日カフェインを摂り続けている人が突然やめると頭痛やぼ~っとするなどの症状があらわれるそうです。すなわち、カフェイン依存症。

私もカフェインを断つと手は震えないものの頭がぼーっとしていつもより頭の回転が遅いことが気になり、ひと月カフェイン断ちをしたところ、改善しました。

瞑想でコンディションを整える

一流アスリートに瞑想をしない人はいません、常識です。
確かに瞑想の効果は素晴らしいです。

瞑想抜きで本番の緊張対策やコンディショニングは語れません。私は最もシンプルで効果的なメンタルトレーニングだと思っています。

瞑想とマインドフルネスは何となく一緒にされていて違いは何なのか、など疑問が湧くところではありますが、重要なのはそこではなく、まずはシンプルに

ただ呼吸に意識を向ける

ことです。

最初は3分くらいから日に何度かやってみましょう。

  • 電車に乗っている時
  • ほっと一息ついた時
  • 食後のリラックスタイム
  • 夜ベッドに入って
  • etc

瞑想の最もわかりやすいメリットは”自分の心の状態に気づく”ことだと思います。心理学でいうところの”メタ認知”に通じる感覚を会得することもできます。

つまり、不安や恐怖の感情にとらわれている時に、それに巻き込まれてしまうことがなければ落ち着いて自分を律して為すべきことを為すことができます。そのためにも自分の心がどういう状態なのか自分で気づかなければなりません。瞑想はそのための極めて効果的なメソッドと言えます。

詳しくは、こちらがおすすめです↓

あがり症改善 コンディション編まとめ

以上、”本番で手が震えて弾けない”あがり症改善のコンディション編でした。

まとめます。

  1. 不安や恐怖を限りなく少なくする
  2. 幸せホルモン”セロトニン”を増やす
  3. コーヒー、紅茶、緑茶などカフェインに注意
  4. 瞑想でコンディションを整える

本番のコンディションはもちろん、日々の練習効果を上げるためにも自分のデフォルトの状態がより良いに越したことはありません。

私は、高校時代に「隣の鍵盤をかする程度のミスタッチ3回でレッスンしてもらえない」くらいの恐怖レッスンのおかげで緊張で手が震えるようになり、あがり症の泥沼にはまりました。

長い間あがり症に悩みましたが(約40年!)、あきらめずに色々調べたり、考えたり、試行錯誤して、ようやく最近、人前で自分の演奏に集中して、音が外れても動揺することなく最善のリカバリーで何とかして、”これが今の自分の演奏!”と納得できるようになりました(決してシンデレラのように変身して別人のように上手くなったわけではありません)。

不思議なもので、あんなにドキドキしてびびって震えて、何弾いているのかわからないくらいにあがっていたのに、震えなくなると、何であんなに震えていたのかおかしくなってしまうんですよね。まるで、子供の頃に夜ひとりでトイレに行けないのを笑い話にするように、震えていた自分を笑ってしまいます。

もしかしたら、これからさらに緊張する本番があって震えることがあるかもしれません。

でも、震えても大丈夫!と思えます。

次はマインド編です↓

あがり症改善のマインド|ピアノ演奏の心得
本番は緊張するものです。 しかし、緊張のあまり激しく手が震えると演奏が破綻してしまいます。 あがり症というと、すぐにメンタルが弱いという話題になりますが、私はそもそも性質としてあがりやすい人がいると思っています。 あがり症のためのマインドを...
  1. コンディション編はこの記事
  2. マインド編はこっち
  3. 実践・練習編はこちら
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