頭が真っ白!暗譜が飛ぶ!本番のリスクを軽減する暗譜の心得

本番は緊張するものです。

適度な緊張は演奏に必要ですが、行き過ぎると演奏が破綻してしまします。

本番の緊張によってしばしば起こる事件が

頭が真っ白になり、暗譜が飛ぶ

そして暗譜が飛ぶのではないかという不安や恐怖がますます緊張に拍車をかけます。

脳科学的に頭が真っ白になる可能性を完全にゼロにすることは出来ないそうですが、しかし限りなくリスクを少なくすれば不安や恐怖も少なくなります。

対策をまとめてみました。

♪この記事を書いた人
Yoko Ina

音楽&ピアノ、自然、読書とお茶時間をこよなく愛しています

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楽典・ソルフェージュは演奏の基礎

暗譜の話の前に・・・

そもそも、演奏は楽譜に書かれた音楽を理解し自分はどう演奏するか創造しなければなりません。

楽譜に書かれた音楽を理解するための基礎が楽典とソルフェージュです。

暗譜が苦手な人の多くが、調性や和声をはじめとした楽典の基礎知識がなく、アナリーゼが出来ない、ソルフェージュのトレーニングも不十分・・・これでは弾けるはずがありません。

ここから先は、演奏する作品を演奏するために最低限必要な楽典の知識とソルフェージュ能力がある前提で進めます。

暗譜は頭>>>耳>指

乱暴な言い方をすると、暗譜は頭・耳・指によります。

優先順位は

頭>>>耳>指

です。順に解説しましょう

頭|楽譜を頭に入れる、アナリーゼ必須

最も確実、かつ重要なのは、頭による暗譜です。

すなわち、楽譜が頭に入っている事。
暗譜で弾いても、楽譜を見て弾いているのと同じ感覚で弾く事が出来れば、会場のピアノや響きが普段の練習と違っても何とかなります。

頭による暗譜にアナリーゼは必須です。

アナリーゼにこだわり過ぎるのは個人的に疑問を持っていますが、しかし、最低限これだけは理解しておきましょう↓

  • 形式・構成
  • テーマや主要モティーフとその展開
  • 調性
  • カデンツ
  • 転調の鍵となる音

併せて練習番号をつけて練習することを強くおすすめします↓

【暗譜は怖くない】練習番号活用練習のすすめ
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耳|脳内練習とイメージトレーニング

耳コピよろしく聴覚の記憶で演奏するのも緊張に際してはリスクが大きいです。

本番の会場は、自分の部屋とは違います。ホールでは耳元で聴こえる音だけでなく残響も耳に入っていますし、場合によってはステージ上で自分の音がよく聴こえない事もあります。耳に頼っているといつもと違う響きに動揺し破綻をきたすリスクがあります。

何となく聴こえる音に頼るのではなく、

内なる耳を働かせて自分の中に音楽をリアルに鳴らせるようにしましょう。

そのためには脳内練習とイメージトレーニングが効果的です↓

【ピアノなしで出来る】脳内練習とイメージトレーニングのすすめ
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指|指遣いは超重要

暗譜で最も危険なのは、指の感覚だけに頼る事です。
そもそもピアノは自分の楽器を持って運べません。弾き心地はピアノによって違いますから指に頼った記憶は弾き心地のわずかな違いにも動揺します、すなわち崩壊のリスク・・・

暗譜の問題に限りませんが、指遣いは決定的に重要です。

指遣いはよい演奏が出来るかどうかを決めますが、暗譜にも重要です。
不自然な指遣いは破綻の原因です。

じゃあどうしたらよいのか。

やはり人それぞれ手のサイズは違うので自分の手に合って、かつ、音楽的で自然な動きになるような指遣いを考えましょう。

出版譜に記載されている指遣いは特に輸入版の場合、手の大きなピアニストが書いていて、手の小さな人には無理だったり適切でなかったりする事も多いです。

弾きやすければいいと言うものではないとしても、その人にとってあまりに弾きにくいとか非合理的な動きを要求されるならそれに従う必要はありません。

譜読みの時から指遣いは熟考しましょう。

記憶と感情は密接に関連している

記憶と感情は脳内で密接に関連しています。

従って、指にしろ、耳にしろ、目にしろ、ただ音の羅列として覚えようとするのではなく、

フレーズや和声の意味とそれが持っている感情

を考えたりイメージしながら暗譜すればより確実になります。

そもそも、音楽はただ音が並んでいるわけではありません。その向こうに広がる世界です。

より音楽的な練習が暗譜をより確実にします。

コンディションを侮るなかれ

楽譜をしっかり頭にいれて、曲のイメージも豊かで、練習も十分!
どんなに準備がよくても、前日に夜更かしして頭がぼーっとしているとか、食べ過ぎ・飲み過ぎで身体が重いなどという状態ではよいパフォーマンスを発揮するのは困難です。すなわち、

コンディション!

本番前日だからと特別な事をするのはかえってNG!ですから普段から自分のコンディションを意識しておきましょう。

ざっくり、睡眠・食事・運動の3つです。すなわち

  • 睡眠:睡眠時間・起床/就寝時間
  • 食事:食事から本番までのベストタイミングと本番でスタミナ切れにならない食事内容
  • 運動:最低でもストレッチとウォーキング

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ピアノ演奏本番の緊張|あがり症改善はコンディションから
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呼吸が浅いと脳が酸欠になり真っ白になる

緊張すると呼吸が浅くなりがちですが、呼吸が浅くなると脳に酸素が行きわたらず集中力の低下を招きます。

本番で頭が真っ白になるのは、緊張で呼吸が浅くなり、脳に酸素が行きわたらないために、集中力が低下し、ついに真っ白になるという現象ではないかと個人的に、経験的に思っています。

とは言え、本番だけいきなり深い呼吸をするのも無理な話。従って、

日頃から深い呼吸を習慣にしましょう。

そして、練習の時から演奏と呼吸とについて意識します。ポイントはこんなところ。

  • フレーズが変わる所で声楽のようにブレスする
  • 吸いながら弾くフレーズ(主にクレッシェンド)
  • 吐きながら弾く(主にディミヌエンド)

普段から演奏が呼吸と結びついていれば、緊張しても呼吸できるはずです。

人前で弾く練習は人前で弾く事でしか出来ない

以上のような準備をした上で、人前で弾く練習をしましょう。

すなわち、練習会や弾き合い会への参加です。

いくらイメージトレーニングが有効と言っても、やはり人前で弾く練習は、実際に人前で弾くことしか経験を積むことができません。

ろくに練習しないで、ただ回数だけこなしてもあまり意味はないと思いますが、しかし、どんなに準備してもやはり人が聴いている所で弾くのは緊張するものです。

やはり人前で弾く練習は必要です。

まとめ

本番で頭が真っ白になって立ち往生・・・というリスクを限りなく小さくする対策のまとめです。

  1. 楽典・ソルフェージュは演奏の基礎
  2. 暗譜は頭>>>耳>指
    頭|楽譜を頭に入れる、アナリーゼ必須
    耳|脳内練習とイメージトレーニング
    指|指遣いは成否を決める
  3. 記憶と感情は密接に関連している
  4. コンディションを侮るなかれ
  5. 呼吸が浅いと脳が酸欠になり真っ白
  6. 人前で弾く練習は人前で弾く事でしか出来ない

練習に終わりはないし、演奏にこれでいいというゴールもありません。

だからこそ、最初が肝心です。

適当にガチャガチャ弾き散らかして、本番近づいてから暗譜がどうのと騒いでも上手くいくわけがないのは少し考えればわかりますよね。

感性と知性と理性をフルに働かせてより音楽的に練習する事が、結局よりよい演奏を生み、暗譜も確実にします。

Let’s enjoy music ♪

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