ピアノを弾いていて
何が悲しいって、
本番で思うように弾けないことほど悲しいことはありません。
あんなに練習したのに、
手が震えて思うように弾けなかった・・・
頭が真っ白になって、
何を弾いているのかわからなくなった・・・
その惨めさは例えようもなく、
本当に、消えてしまいたいほどです。
演奏に支障をきたすほどの緊張、すなわち”アガリ”。
気休めではない根本的な解決のために、まずは緊張について知りましょう。
緊張すると”あがる”
アガリ症と言いますが、
緊張すると本当に
あがります!
- ドキドキする=心拍数があがる
- 呼吸が浅くなる=呼吸があがる
- 肩に力が入る=重心があがる
- 舞い上がる=テンションあがり過ぎる
- etc…
緊張すると本当に色んなことが”あがってしまう”んですよね。
他にも
- 手足が震える
- 手や全身に汗をかく
- 身体が硬くなる
- 顔や耳が赤くなる
- 顔をひきつる
- ・・・
などの身体反応に悩まされます。
手足が震えると、弾けないですよね。
手に汗かいたら鍵盤が滑るし、
身体が硬くなると指も思うように動きません。
顔や耳が赤いのを見られるのは恥ずかしい・・・
とにかく、あがると大変!
パニックです。
”怖い”と感じると闘争・逃走反応が起きる
緊張すると、なぜこのような反応が起こるかというと、
人間は不安や恐怖を感じたり、
危険を察知した時に
闘争・逃走反応が作動するからです。
闘争・逃走反応が起きると血液中にアドレナリンが放出され、交感神経が活発になり、心拍数があがる、体温・血圧があがる、筋肉が硬くなる・・・などの反応が起きます。
それは、その危険に際し闘うとか逃げるとか、ともかく自分の身を守るための行動を起こせるように、身体が戦闘モードに入るからです。
”怖い”と感じたら、反射的に緊張状態に入ってしまうんですね。
ですが、交感神経が活発になり過ぎるとその反応も強く出るので困ったことになるのです。
ピアノを弾くのは危険なのか?
危険や不安・恐怖を感じると、闘争・逃走反応が起きると述べましたが、
本番に際して
ドキドキしたり、
手が震えたりするということは、
ピアノを弾くのは危険な事なのでしょうか?
実は、この闘争・逃走反応は、それがどのような危険・不安・恐怖なのかを吟味して起こるわけではありません。
とにかく”怖い”と感じると作動してしまいます。
ステージ(人前)でピアノを弾くということは、何かが飛んでくるとか襲われるという心配は限りなく”ゼロ”ですから、身の危険はないはずです。
しかし、現実問題として本番の不安や恐怖をゼロにするのは限りなく難しいですよね。
どんなに練習しても
難しいフレーズを絶対に弾けるという
保障はどこにもありません。
⇒弾けなかったどうしようという不安
なぜ、”弾けなかったらどうしよう”と不安になるのかと言ったら、
演奏会など聴衆の期待が大きいほど反応が気になります。
いい演奏ができなければ聴衆をがっかりさせ、その後の活動にも影響します。
⇒不安・恐怖
試験やコンクールなら結果はその後の進路や人生を左右します。
⇒不安・恐怖
つまり、
その演奏がもたらす結果に対する不安や恐怖
が闘争・逃走反応を作動させるということになります。
ということは、対処法として2つ考えられます。
ひとつは、
演奏の完成度を上げること。
もうひとつは、
何のために弾くのかということ。
これはとても重要な問題なので別の記事て詳しく書いていきます。
緊張感のない演奏は面白いですか?
不安や恐怖が闘争・逃走反応を作動させ、ドキドキしたり手が震えたりすると述べました。
じゃあ、この闘争・逃走反応は悪いのかというとそうではありません。適度な緊張は演奏にプラスに働きます。
手に汗握る熱演と言いますが、やはり演奏に緊張感は必要です。
緊張感のない演奏って面白くないですよね。特にライブなら、少々音がはずれても勢いがあって迫力があって、ワクワクドキドキする演奏を聴きたいじゃないですか。
それも、アドレナリンやノルアドレンリンが放出され交感神経が活発になることで生まれます。
だから、演奏に緊張は必要なのです。
巨匠たちもみんな緊張するらしい
本番の緊張って他の人はどうなのだろう?
特に一流ピアニストはどうなのか、気になりますが・・・
Twitterでこんなのを見つけました。
横山幸雄(ピアノ)
*本番前にどれくらい緊張しますか?
「このまま地球がひっくり返ってひとまず本番なんてやってる場合じゃなくなれば良い!という状況になることをひたすら願うくらい。」#横山幸雄@yokoyama_staff#JAアーティストに聞いてみた pic.twitter.com/4xO2npXUSs— ジャパン・アーツ(Japan Arts Corporation) (@japan_arts) August 26, 2020
いや~、ちょっと驚きました。
アリシア・デ・ラローチャも似たようなことを語っているのを読んだことがありますし、アルトゥール・ルビンシュタインが本番前にどん帳にしがみついてガタガタ震えていたとか・・・巨匠たちも緊張するんですよね。
不安や恐怖を感じると、
闘争・逃走反応が作動するように
人間は出来ている
それは真実で例外はないんだな~と思いませんか?
まず、みんな緊張するんだと思うだけで諦め⇒覚悟もできるし、それは人前で演奏する以上もれなくついてくるのだと達観できます(というか、するしかないですよね)。
演奏会がなくなればいいと思うほど緊張しても立派に演奏できるか、ボロボロになってしまうかの違いはどこから来るのか、どうしたらいいのか・・・
これから書いていきます。
まとめ
人間は”怖い”と思うと闘争・逃走反応が作動し、反射的に身体が戦闘モードに入るようにできています。ドキドキするのも、身体が硬くなるのも、手足が震えるのも、その反応の表れです。
巨匠たちも本番前には逃げたくなるほどの緊張を感じているらしいので、人前で演奏する以上、緊張はもれなくついてくると悟ろう。。。
本番の緊張は、決して悪いものではなく、よい演奏には適度な緊張が必要。
【結論】
人前で弾く以上緊張から逃げられない。
ならば、仲良く共生しよう♪