ピアノ弾きのみなさん、
毎日のピアノの練習を何から始めていますか?
いきなりインテンポでショパンやリスト、ラフマニノフやスクリャービンやプロコフィエフのエチュードを弾き始めるという無茶をしていませんか?
指ならしと称してハノンやスケールを速いテンポでfやffで
ダダダ・・・!
とかき鳴らしていませんか?
それ、無茶です!無謀です!
今日からやめましょうね。
・・・考えてみてください。
陸上選手がウォーミングアップしないで、いきなり全力で走りますか?
バレエダンサーがストレッチもバーレッスンもしないで、いきなりトゥシューズを履いて「黒鳥の32回転」しますか?
絶対にしません。
プロはもちろんアマチュアだってしませんよ。
なぜなら、彼らはそんな無茶をしたら怪我をするかもしれないし、とても無謀で危険で選手生命を脅かすことだと知っているからです。
スポーツ競技のアスリートでも、アクロバティックな踊りをするダンサーも、毎日の練習は念入りなウォーミングアップで始めます。
音楽家だって、例えば歌手は必ず発声練習します。
いきなり、オペラアリアを歌ったりしません。
ピアノも、ウォーミングアップが必要です。
ところでウォーミングアップって何?
わざわざ時間をかけるだけの効果はあるの?という疑問にお答えします。
ウォーミングアップとは
ウォーミングアップとは、文字通り
warm:体温を上げて身体を温める
up:心拍数を上げ、血流量を増やす
ことです。
身体を温め、血流量を増やすことで、運動を行うために身体を準備し、運動能力を発揮する状態にして、怪我を予防するのがウォーミングアップです。
手が冷たいと指が動かなくて思うように弾けないですよね。
身体が温まれば手も温かくなり弾きやすくなります。
身体が温かいということはピアノを弾く上で前提条件です。
効果的な練習やいい演奏のためにとても重要なのです。
ウォーミングアップしましょう。
ウォーミングアップの効果
1分1秒でも沢山練習したいから、
ウォーミングアップなんて時間がもったいない!
そんなもどかしいことはやっていられない・・・
と思うかもしれませんが、
急がば回れ!
です。
ウォーミングアップは、短期的にも長期的にも結局いい演奏をするために最も効果的で、時間を費やす価値は十分あります。
ウォーミングアップの効果を説明しましょう。
演奏・練習モードにスイッチをOn!
ピアノの演奏はとても繊細な指の動きが要求されます。
PCのキーボードを叩くのとは違います。
ピアノを弾くことは全身運動です。
ウォーミングアップによって身体を温めることで筋や腱が柔らかくなると関節可動域が大きくなります。手が冷たい状態よりも温かい方が楽に指が動くのはそのためです。
ウォーミングアップで身体の状態をよくすることは、練習効果を上げることでもあります。
ウォーミングアップは、練習・演奏モードに
スイッチOn!
にすることなのです。
ウォーミングアップしましょう!
痛みや障害の予防
ウォーミングアップで身体のコンディションを上げることは、練習や演奏による痛みや障害の予防になります。
音楽家の手の専門医である酒井直隆医師は著書の中でこう語っていらっしゃいます。
演奏家の手の痛みの大部分が筋肉にかかわる炎症なのですから、筋肉をどうケアすればいいか、という問題になってきます。「工夫」の中には筋肉のストレッチ、筋力の増強、筋肉のリラクゼーションなど、さまざまのものが考えられますが、その多くはわざわざ病院に出向かなくても、家庭で楽器を手にした状態で、できるはずです。
酒井直隆『解決!演奏家の手の悩み~ピアノの症例を中心に』p.83より引用
練習前のウォーミングアップは、まさにこの筋肉のストレッチです。
上達のためには練習が不可欠ですし、演奏会やコンクール・試験に臨む際にはどうしても長時間ピアノに向かうことになります。
ピアノ弾きの中には、肩こり・腰痛・手や腕の痛みは当たり前だと思っている人がいるみたいですが、それは大きな誤解です。
練習による疲れが蓄積が肩こりや腰痛やひどい場合には腱鞘炎・フォーカル・ジストニアなどの障害を引き起こします。
本番で最大限のパフォーマンスを発揮することができなければ、結局、その練習は何なのか?ということになりますよね。
本番の成功のためには、最高のコンディションを整えることが不可欠ですし、痛みや障害は絶対に避けなければなりません。
そのために欠かせないのがウォーミングアップです。
いい演奏をしたいならウォーミングアップです。
ウォーミングアップしましょう!
本番前のルーティン
普段から決まったウォーミングアップをしていれば、それが本番のパフォーマンスを高めるための最強の《儀式》になります。いわゆる
”ルーティン”
普段からルーティンとしてウォーミングアップメニューを行っていれば、緊張する場面でそのウォーミングアップを行うことで ”平常心”へと持っていくことができます。
《本番》というのは《いつもの練習》と違うシチュエーションです。その中でいつものウォーミングアップで行うことにより、不安や緊張を鎮め、演奏モードへ自分を整えることができます。
本番前にストレッチをするのがいいとよく言われますが、普段やっていないことを急にやるよりも、いつものウォーミングアップメニューがいいに決まっています。
ウォーミングアップしましょう!
まとめ
ピアノ弾きは、身体運動という点では「鍵盤上のアスリート」です。
イチロー選手の素晴らしい活躍が、人一倍の練習メニューに支えられていたように、一流スポーツ選手はウォーミングアップから念入りに日々の練習を始めます。
芸術家であるダンサーも、ストレッチなどウォーミングアップを必ず行います。
ウォーミングアップは、身体を温め、心拍数や血流量を増やして運動モードに準備することです。
ピアノの練習による疲れ・痛み・障害を防ぐため
練習効果を上げるため
パフォーマンスを上げるため
本番を成功させるため・・・
日々の練習はウォーミングアップから始めましょう!
⇒ ピアノ弾きの演奏向上と故障予防にウォーミングアップのすすめ(この記事)