ピアノ・ベーシック・トレーニング

今日の練習が明日の演奏を作り、
その先に本番があります。

練習しなければならないことはみんな知っていますが・・・

何より大切なのは、

いかに練習するか

です。

ちょっと考えてみてください。

歌は誰でも歌えますが、歌手は必ず発声から練習を始めます。

いきなりオペラアリアを本番モードで歌ったりはしません。
そんなことをしたら喉を傷めてしまうことを知っているからです。

ピアノは簡単に音が鳴りますが、
歌う気持ちだけでは歌えません。
気合と根性と執念だけではテクニックは身に付きません。

ピアノ・ベーシック・トレーニングは

  • 合理的で自然な奏法
  • テクニック向上
  • 練習効果アップ(練習時間短縮)
  • 本番前のコンディショニング
  • 故障予防

に効果的な練習メニューとして考案されました。

こんな悩みをお持ちの方におすすめします。

  • √ ピアノを弾くと手、首、背中、腰が痛い
  • √ 手が小さくてオクターブや和音が辛い
  • √ 速い動きが苦手 
  • √ 腱鞘炎やジストニアなど故障から回復期
  • √ あがり症で手が震えて困る
Lesson
ピアノ演奏は、作品とピアノと自分自身の良好な関係から生まれます。 作品とピアノは既にあるものですから、良好な関係は自分自身にかかっています。 自分自身とは心と頭と身体の協調です。 感じること ― 心(感性)考えること ― 頭(知性・理性)奏...
♪この記事を書いた人
Yoko Ina

音楽&ピアノ、自然、読書とお茶時間をこよなく愛しています

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《センタリング》と《コーディネート》|ピアノ・ベーシック・トレーニングのコンセプト

ピアノ・ベーシック・トレーニングは

《センタリング》と《コーディネート》

をコンセプトにしています。

  • センタリング:中心感覚(いわゆる丹田の意識)
    -身体の中心感覚あってこそ安定した下半身と伸びやかな上半身、そして自由な腕・手・指が実現されます
  • コーディネート:自分自身の頭・心(感覚)・身体の協調
    -演奏のための指の動きは「指は全身の一部という意識」と「頭と心(感覚)と体の協調」から生まれます。

順に解説します。

センタリング~中心感覚

    ピアノのレッスンで、

    お腹に力を入れて!

    とか、

    丹田を意識して!

    などと言われた経験のある方は少なくないと思います。

    「弾ける人」は、

    重心が低く、
    下半身が安定していて
    お腹に力があって、
    中心から動く感覚が身についています。

    練習してもなかなか弾けるようにならない人は、

    中心感覚がわからないので、
    指だけで弾こうとしたり、
    腕の力だけでfを出そうとしたり
    無理をするのでますます弾くのが難しくなり、
    手や腕が痛くなったり、
    肩こり、首・背中・腰の痛みに悩むことになります。

    センタリング―中心からの動き―による奏法に習熟しましょう。

    センタリングに習熟するにつれ、思い描く音楽を自由に表現するための練習方法がわかるようになってきます。具体的には

    • 指は動くようにできていることがわかるようになり、頑張って無理やり動かす練習は必要ないことがわかってくる
    • 指を動かすのは脳であり、楽譜をよく読む事や音楽を感じる事が指を動かす原動力であることがわかるようになる
    • 全身のコーディネートで演奏する感覚がわかってくれば、手や指に必要以上に力を込めなくていいことがわかり、痛みなどの苦痛から解放される

    センタリングは演奏スタイルの基本です。

    コーディネート~指先だけではなく全身、そして心と頭の統合

    ピアノの魔術師と呼ばれたフランツ・リストは言いました。

    指が5本ついている手が二つあると思うな。
    身体から10本の指が生えていると思え。

    鍵盤に触れるのは指先ですが、鍵盤の動きによってダンパーとハンマーの動きをコントロールするためには指先の動きだけでは上手く行きません。

    コーディネートとは、単に指先のみの器用な動きを目指すのではなく、全身の一部としての指の機能を最大限発揮するように、全身を効果的に使うことです。

    正確だけど面白くない、
    歌いたいのに歌えない、
    fを弾き続けると手が痛い・・・

    などの悩みは、指先の動きだけで弾こうとすることが原因です。

    また、演奏は、頭と心(感覚)と身体の協調によって生まれます。

    全身のコーディネート、心と頭と身体の協調によって、イメージを実現する演奏を目指しましょう。

    ボディワーク|ピアノ・ベーシック・トレーニング

    ピアノ・ベーシック・トレーニングのメニューを順に紹介します。

    いきなりピアノに向かって鍵盤に指を走らせる前に、

    5つのボディワークで慌ただしい日常でささくれだった自分を初期化し、ピアノを弾く”姿勢”(=心身の状態)を整えましょう

    ♪5つのボディワーク

    1. 自分初期化
      重心を下げる、下半身の安定、上半身をゆるめる
    2. 全身と腕
      下半身-背中-腕のストレッチ
    3. 背中から生える腕
      肩甲骨・肩周りから腕のストレッチ
    4. 背中から動く腕と手指
      ”背中から動く指”の予備練習
    5. 座骨で座る
      ”座る”フォームの基本

    この5つのメニューは、いつでもどこでも5分~10分でできます。

    《センタリング》と《コーディネート》を身に着けるために、そして、ウォーミングアップ、本番前のルーティンとしておすすめです。

    ボディワーク|ピアノ・ベーシック・トレーニング
    ピアノ・ベーシック・トレーニングは5つのボディワークで始めます。 自分初期化 センタリングとコーディネート 背中から生える腕 背中から動かす指 座骨で座る 5つのボディワークは、ピアノ演奏・練習の質向上の第一歩として行います。 具体的な目的

    ウォーミングアップって何?という方はこちらへ

    ⇒ピアノ弾きの演奏向上と故障予防にウォーミングアップのすすめ

    指のストレッチ|ピアノ・ベーシック・トレーニング

    ボディワークで心身を整えたら、指のストレッチをしましょう。

    手が小さい、指が弱い・硬い・動かないとお悩みの方はもちろん、ウォーミングアップとして指のストレッチは効果的です。

    ピアノ弾きは鍵盤上のアスリート。
    鍵盤上で激しく指を動かす前にストレッチをしましょう。

    ストレッチは3種類行います。

    1. 伸筋と屈筋のストレッチ
    2. 指のストレッチ(1)
    3. 指のストレッチ(2)

    3種類のストレッチを毎日続けることで指がしなやかになります。

    手が小さい、硬いと悩む人には、特におすすめします。

    指のしなやかさは、痛みや障害予防はもちろん練習による疲れの軽減にもつながります。

    ピアノ弾きのための指のストレッチ|ピアノ・ベーシック・トレーニング
    ピアノ・ベーシック・トレーニングの5つのボディワークでピアノを弾くための心身のコンディションを整えたら、 指のストレッチをしましょう。 ピアノ弾きは芸術家であると同時に鍵盤上のアスリートです。 スポーツ選手が練習メニューをストレッチで始める

    タッチの基礎練習|ピアノ・ベーシック・トレーニング

    ボディワーク指のストレッチでピアノを演奏するコンディションを整えたら、タッチの基礎練習をしましょう。

    歌は誰でも歌えますが、オペラアリアやリートを歌うためには発声練習が必要です。

    同じようにピアノも誰でも簡単に音が鳴りますが、クラシック作品の演奏のためには洗練されたタッチが必要です。

    タッチの基礎練習はピアノの音の鳴る仕組みを理解し、自由に演奏するためのタッチを洗練させるトレーニングです。

    タッチの基礎練習|ピアノ・ベーシック・トレーニング
    5つのボディワークと指のストレッチでウォーミングアップをしたら、 タッチの基礎練習です。 タッチの基礎練習は、声楽の発声練習にあたります。 歌も誰でも歌えます。でもリートやオペラアリアを歌うためには発声練習しますよね。 そうしないと歌えない

    基礎テクニック|ピアノ・ベーシック・トレーニング

    ボディワーク指のストレッチタッチの基礎練習を基本として、必要に応じて基礎テクニックの練習をしましょう。

    1. 5指練習
    2. スケール&アルペッジョ
    3. オクターブ
    4. トリル
    5. 3度・6度
    6. etc…

    参考|ピアノ・ベーシック・トレーニングが影響を受けたもの

    《ピアノ・ベーシック・トレーニング》が影響を受けている主なものをご紹介します。

    影響を受けたレッスン

    ピアノ・ベーシック・トレーニングボディワーク指のストレッチの基礎となっているレッスンです。

    • ピアノのためのフィンガートレーニング
      藤本雅美氏に1987~1989年に師事。
    • アレクサンダーテクニーク
      2002年に小野ひとみ氏のアンドーヴァーエデュケーターズ受講。
      以後3年余り月2回ペースでアレクサンダーテクニーク個人レッスンを受講。
    • クラシックバレエ
      2005年よりクラシックバレエのレッスンを週1回以上受講。
    • ルミエール・ストレッチ
      2011~2013年に後藤早知子氏のクラス(渋谷チャコット)を受講。

    影響を受けた本

    現在のレッスンや私の演奏に影響を与えてくれた本たちの中から、特におすすめしたいものをご紹介します。

    ピアノを弾くとはどういうことか

    ピアノを弾くとはどういうことか、教えてくれた本たちです。

    • セイモア・バーンスタイン著、佐藤覚+大津陽子訳
      『音楽による自己発見 心で弾くピアノ』1999年。
    • ゲンリッヒ・ネイガウス著、森松皓子訳
      『ピアノ演奏芸術 ある教育者の手記』音楽之友社、2003年。
    • ジャン・ファシナ著、江原郊子・栗原詩子訳
      『若いピアニストへの手紙』音楽之友社、2004年。
    • ジャン=ジャック・エーゲルディンゲル著、米谷治郎・中島弘二訳
      『弟子から見たショパン そのピアノ教育法と演奏美学』音楽之友社、2005年。
    • ジョルジ・シャンドール著、岡田暁生監訳
      『シャンドールピアノ教本 身体・音・表現』春秋社、2005年。
    • 金子一朗
      『挑戦するピアニスト 独学の流儀』春秋社、2009年。
    • 古屋晋一
      『ピアニストの脳を科学する 超絶技巧のメカニズム』春秋社、2012年。
    • ウィリアム・ウェストニ―著、西田美緒子訳
      『ミスタッチを恐れるな』ヤマハミュージックメディア、2015年。
    • ジェラルド・クリックスタイン 著、 藤村 奈緒美訳
      『成功する音楽家の新習慣~練習・本番・身体の戦略的ガイド~』2018年
    • ケニー・ワーナー著、藤村奈緒美訳
      『エフォートレス・マスタリー』YAMAHA、2019年。
    • 原田光子訳編
      『大ピアニストは語る』河出書房新社、2020年

    フィンガートレーニング

    ピアノ・ベーシック・トレーニングのボディワークと指のストレッチ、必要に応じて行うフィンガートレーニングの基礎になっている本です。

    • 藤本雅美『ピアノのためのフィンガートレーニング』ムジカノーヴァ社、1986年。
      1987~1989年に著者藤本雅美氏に師事。

    心身メソッド

    アレクサンダー・テクニークなど心身メソッドとピアノ演奏について教えてくれた本たち。

    • 小野ひとみ
      『アレクサンダー・テクニーク やりたいことを実現できる〈自分〉になる10のレッスン』春秋社、2007年。
    • ペドロ・デ・アルカンタラ著、小野ひとみ監訳
      『音楽家のためのアレクサンダー・テクニーク入門』春秋社、2009年。
    • バーバラ・コナブル著、小野ひとみ+片桐ユズル訳
      『音楽家ならだれでも知っておきたい「からだ」のこと』誠信書房、2000年。
    • トーマス・マーク他著、小野ひとみ監訳
      『ピアニストならだれでも知っておきたい「からだ」のこと』春秋社、2006年。
    • マーク・リース他著、かさみ康子訳
      『フェルデンクライスの脳と体のエクササイズ』晩成書房、2005年。
    • 野口晴哉
      『整体入門』ちくま文庫、2002。

    アレクサンダー・テクニークは小野ひとみ氏に師事(2002~2004年)。
    野口整体は整体協会(世田谷区)にて学ぶ(1999~2000年)。

    医学から見たピアノを弾く〈手〉

    ピアノを弾く手はどうなっているのか、
    ピアノを弾くという身体運動はどういうメカニズムなのか、
    障害はなぜ起こるのかなど、
    ・・・
    医学的なことを教えてくれた本たちです。

    • 酒井直隆著
      『ピアニストの手 障害とピアノ奏法』ムジカノーヴァ社、1998年。
    • 酒井直隆
      『解決!演奏家の手の悩み~ピアノの症例を中心に』ハンナ、2012年。
    • 根本孝一・酒井直隆編著
      『音楽家と医師のための音楽家医学入門』協同医書出版社、2013年
    • イアン・ウィンスパー他著、酒井直隆・根本孝一監訳
      『音楽家の手 臨床ガイド』三秀社、2006年。
    • ジャウメ・ロセー・イ・リョベー他編、平孝臣・堀内正浩監修
      『どうして弾けなくなるの?〈音楽家のジストニア〉の正しい理解のために』音楽之友社、2012年。

    メンタルトレーニング

    メンタルトレーニング関連の本。

    • カトー・ハヴァシュ著、今井理瑳・藤本都紀訳
      『「あがり」を克服する ヴァイオリンを楽に弾きこなすために』音楽之友社、2002年。
    • バリー・グリーン他、辻秀一監訳
      『演奏家のためのこころのレッスン』音楽之友社、2005年
    • ドン・グリーン著、辻秀一監訳
      『ジュリアードで実践している演奏者の必勝メンタルトレーニング』ヤマハミュージックメディア、2013年。

    ジョブズも読んだ禅の思想、瞑想・マインドフルネス

    禅の思想や瞑想・マインドフルネスは、演奏において学ぶべきものが沢山あります。

    • オイゲン・ヘリゲル著、柴田治三郎訳
      『日本の弓術』岩波文庫、1982年。
    • 小池龍之介
      『もう怒らない』幻冬舎、2009年。
    • アルボムッレ・スマンサーラ
      『現代人のための瞑想法』サンガ新書、2007年。
    • 鈴木俊隆著、松永太郎訳
      『禅マインド ビギナーズ・マインド』サンガ新書、2012年。
    • 鈴木俊隆著、藤田一照訳
      『禅マインド ビギナーズ・マインド2』サンガ新書、2015年。
    • チャディー。メン・タン著、高橋則明訳
      『たった一呼吸から幸せになるマインドフルネス JOY ON DEMAND』NHK出版、2016年

    セミナー

    弾けない、痛い・・・に悩まないで!

    演奏の上達に特効薬も魔法もありません。

    練習は、ピアノの前に座ってむやみに音をかき鳴らせばいいというものではありません。

    今日食べたものが明日からの身体を作るように、

    今日の練習が明日の演奏を作ります。

    日々の積み重ねが、
    ひと月後の自分を育て、
    3か月後の本番を決め、
    来年の自分のステージを上げ、
    将来の夢を叶えます。

    練習は大変です。
    でも、目指すところを見失ってはいけません。

    喜びをもって、
    目指す世界を表現しようとするから、
    聴く人に伝わり、
    幸せをもたらす・・・

    そう信じて今日も練習しましょう。。。

    ⇒ 5つのボディワーク

    ⇒ 指のストレッチ

    ⇒ タッチの基礎練習

    ⇒ ピアノ弾きの演奏向上と故障予防にウォーミングアップのすすめ

    ⇒ 明日も笑顔でピアノに向かうためにクールダウンのすすめ

    Lesson
    ピアノ演奏は、作品とピアノと自分自身の良好な関係から生まれます。 作品とピアノは既にあるものですから、良好な関係は自分自身にかかっています。 自分自身とは心と頭と身体の協調です。 感じること ― 心(感性)考えること ― 頭(知性・理性)奏...
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