2月の音楽カレンダー(3)ショパン(?)、モイセイヴィチ、セゴビア、ヘンデルetc

2月21~28日に誕生日など記念日の音楽家たちをピアノ・弦楽器・管弦楽・・・の優先順位で紹介しています。

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Yoko Ina

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2/21はチェルニーとセゴビアの誕生日

2月21日は、ピアノ弾きなら誰でもお世話になったカール・チェルニーと「現代クラシックギター奏法の父」アンドレス・セゴビアの誕生日です。

2/21はカール・チェルニーの誕生日

2/21はオーストリアのピアニスト・ピアノ教師・作曲家カール・チェルニー(Carl Czerny)の誕生日。

1791年ウィーンに生まれ。ベートーヴェンとクレメンティとフンメルの弟子で、リストとレシェティツキの師匠ですが、日本では「練習曲作曲家」の汚名を着せられ、子供時代の一時期に通り過ぎるだけ。チェルニーなんか一日でも早く終わらせてショパンのエチュードを弾きたい!というのがピアノ弾きの本音です。

かく言う私も過去のトラウマはいまだに癒えず・・・チェルニーの名前を見ただけで、胃の辺りにズン・・・と重いものを感じ、古傷がうずきます。いい想い出はありません。

ショーンバーグ推薦、ホロヴィッツによるラ・リコルダンツァをどうぞ。

2/21はアンドレス・セゴビアの誕生日

2/21はスペインのギタリストで現代クラシック・ギター奏法の父と呼ばれるアンドレス・セゴビア(Andrés Segovia)の誕生日。

1893年スペイン生まれ。4歳でギターに触れ16歳で演奏会を開き、数年後にはマドリッドでプロデビューしました。

セゴビアの演奏技巧は、当時主流だったタレガやミゲル・リョベートの指ではじく奏法とは違い、指の爪で弦をはじき、鋭い響きをひき出しました。指か爪かという問題は、長らくクラシック・ギター演奏家たちの論争を引き起こしましたが、現代では爪ではじくのが主流のようです。

タレガの編曲やJ.S.バッハの作品をギターで演奏したセゴビアは当初、クラシック音楽界から受け入れられないだろうと思われていましたが、卓越した演奏技巧と独特なタッチで聴衆を驚かせ、魅了し、やがてクラシック音楽の演奏にもふさわしいとみなされるようになってきました。

コンサートホールで演奏するようになるにつれ、演奏時術の向上のみならず、楽器の改良をもくろみ、楽器製作者と協働して、今日のクラシック・ギターとして知られるようなデザインを編み出しました。

1928年35歳頃、アメリカ合衆国における演奏旅行の後、「ギター弾き」としてとして知られるようになり、スペイン内外の作曲界に感銘を与え、20世紀に数多くのギター作品が作曲されヴィラ=ロボス、カステルヌオーヴォ=テデスコらが作品をセゴビアに献呈しました。

J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲第1番よりプレリュード、今では、当たり前にバッハのあの曲だと思って聴いてしまいますが、それをはじめてやって当たり前にしたのがセゴビアなのだと思うと感慨ひとしおです。

2/22はフレデリック・ショパンの誕生日かもしれない日でモイセイヴィチの誕生日

2/22はフレデリック・ショパン( Fryderyk Franciszek Chopin)の誕生日かもしれない日、そしてピアニスト ベンノ・モイセイヴィチの誕生日です。

2/22はフレデリック・ショパンの誕生日かもしれない日

誕生日かもしれないというのは、ジェラゾヴァ・ヴォーラの教会の洗礼簿によると2/22となっているからです。ショパン本人と家族は3/1と主張していて、今となってはどちらか確かめようがありません。。。

Op.1ロンドをミフノフスキーの美しい演奏で。。。

2/22はピアニスト ベンノ・モイセイヴィチの誕生日

2/22はピアニスト ベンノ・モイセイヴィチ(Benno Moiseiwitsch)の誕生日。

1890年ウクライナ・オデッサ生まれ。9歳でアントン・ルビンシテイン賞を獲得。その後ウィーンでテオドル・レシェティツキに師事。1909年にロンドンでデビュー、1919年にアメリカ合衆国にデビュー、イギリスに定住して1937年に英国籍を取得。1946年叙勲。

ラフマニノフ自身が「精神的な後継者」と折り紙をつけたほどですが、個人的にはこのショパン舟歌が好きです。

2/23はゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルの誕生日

2/23はゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル(Georg Friedrich Händel)の誕生日。

1685年ドイツに生まれ、27歳の時にロンドンに移住し後に帰化したため、ドイツとイギリスの両国とも自分の国の作曲家だと主張して譲りませんが、日本ではドイツの作曲家ということになっています。

同じ年に生まれたバッハが宗教音楽中心なのに対し、劇場音楽を中心に描いたヘンデルは鍵盤楽器のための作品も明るく華やかです。

シャコンヌ HWV 435をどうぞ。。。

2/24はピアニスト安川加寿子さんの誕生日

2/24は安川加寿子さんの誕生日。

音楽之友社から出版されている白い表紙のドビュッシー全集の校訂者安川加寿子さんは、1922年神戸市生まれ、生後間もなくから外交官の父の赴任先パリで育ち、 パリ国立高等音楽院ピアノ科でラザール・レヴィに師事し、プリミエ・プリで卒業。

1939年17歳の年に国際情勢悪化のため帰国し、1940年国内でのデビューリサイタルを開きますが、当時の日本は井口基成氏を中心にドイツ音楽主流だったため、「ベートーヴェンを弾けないのはピアニストではない」くらいの勢いで彼女には冷たい視線も向けられた時代があったようです。

1943年のサンサーンスのピアノ協奏曲第五番《エジプト風》、軽やかに飛翔するようなタッチに驚きます。。。

2/25はピアニスト マイラ・ヘスの誕生日

2/25はイギリスのピアニスト マイラ・ヘス(Myra Hess)の誕生日。

1890年ロンドン生まれ、王立音楽アカデミーに学び、17歳でベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番を演奏してデビュー。

第二次世界大戦中にコンサートホールが閉鎖されると、ロンドンのナショナル・ギャラリーなどでランチタイム・コンサートを企画・出演、大きな評判となり、この功績に対して、1941年にデイムの称号を授与されました。

モーツァルトやベートーヴェン、シューマンを中心にスカルラッティから現代まで幅広いレパートリーを有した彼女の名前が知られるのはバッハのカンタータ「主よ、人の望みの喜びよ」のピアノソロ編曲版でしょう。

マイラ・ヘス自身の演奏でどうぞ。。。

2/26はピアニスト ラザール・ベルマンの誕生日

2/26はロシア人ピアニストラザール・ベルマン(Lazar’ Naumovič Berman)の誕生日。

1930年レニングラード生まれ。幼少時にエミール・ギレリスから「音楽界の神童」と呼ばれ、モスクワ音楽院でアレクサンドル・ゴリデンヴェイゼルに師事、スヴャトスラフ・リヒテルやヴラディーミル・ソフロニツキー、マリヤ・ユーディナからも指導を受け、10歳でモスクワ・フィルハーモニー管弦楽団と共演してモーツァルトのピアノ協奏曲第25番を演奏し、公式デビューを果たしました。

1956年23歳でエリザベート王妃国際コンクールで5位に入賞、ソ連と東欧で演奏活動を行い、ハンガリーでは「リストの再来」と騒がれました。

1975年45歳でアメリカに演奏旅行、ニューヨーク・タイムズ誌は「ベルマンの目もくらむようなテクニックは、ホロヴィッツだけがライヴァルになることができるもの」と絶賛したと伝わっています。

西側での人気が高まるにつれ、ソ連当局との軋轢は深まり、1990年60歳にしてイタリアに移住しました。

世紀の録音と言われるリスト超絶技巧練習曲集です。

2/27はヴァイオリニスト ギドン・クレーメルの誕生日

2/27はドイツ人ヴァイオリニスト ギドン・クレーメル(Gidon Markusovich Kremer)の誕生日。

1947年ラトビア生まれ、両親と祖父がヴァイオリニストのクレーメルは16歳で国内コンクールで優勝、モスクワ音楽院に入学しダヴィド・オイストラフに師事。

22歳でエリザベート王妃国際音楽コンクール3位入賞、24歳でパガニーニ国際コンクールと翌年チャイコフスキー国際コンクールで優勝、西側で演奏し名声を得る中34歳でドイツに亡命、以後は後進の育成にも尽力し、ロッケンハウス音楽祭を創設して若く無名ながら有望な演奏家を積極的に出演させ、自ら交流にも努めています。

あまりにも有名なクレーメルですが、マルタ・アルゲリッチとのデュオをどうぞ。

2/28はピアニスト ギオマール・ノヴァエスの誕生日

2/28はブラジル出身のピアニスト ギオマール・ノヴァエス(Guiomar Novaes)の誕生日。

1895年ブラジル・サンパウロ生まれ。パリ音楽院においてイシドール・フィリップに師事。パリ音楽院の外国人枠2名に387人が殺到、14歳の彼女はモシュコフスキー、フォーレ、ドビュッシーが試験官として見守る中で、リスト「パガニーニ練習曲」、ショパン「バラード第3番」、シューマン「謝肉祭」を演奏し、首位で合格。ドビュッシーはその時のことを私信で、”小さいブラジル人の少女が壇上に現れ、聴衆や審査員のことを放念し、すっかり無我夢中でこの上なく美しい演奏を行なった・・・”感嘆の念を洩らしたそうです。

ということでショパンポロネーズOp.44をどうぞ。

2/29はジョアキーノ・ロッシーニの誕生日

2/29はイタリアの作曲家ジョアキーノ・ロッシーニ(Gioachino Antonio Rossini)の誕生日。

1792年イタリア生まれ。8歳よりボローニャ音楽院に学び18歳でオペラ作曲家としてデビュー、24歳の時の作品「セビリアの理髪師」でヨーロッパ中で知られる存在になりました。39のオペラを描き44歳で引退、もとより美食家で料理も得意であったことからレストラン経営や料理創作に勤しみました。

ベートーヴェンと同じ時代を生きていますが、生きている間の人気は圧倒的にロッシーニのものでした。シューマンは『音楽と音楽家』の中でふたりについてこう書いています。

蝶々が鷲に出会った。鷲は、うっかり翼を動かしたら蝶々をおしつぶしてしまうので、道をゆずってやった。

とは言え、ロッシーニは教会の儀式でしか聞くことが出来なかった宗教音楽をコンサートレパートリーとして演奏するように尽力した功績を遺しています。そんな作品のひとつ『スターバト・マーテル』をどうぞ。。。

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