セルゲイ・ババヤンを知らないなんて・・・
リストは何千人もの人に聴かせる様に弾くが、 私はただ一人の人に聴かせるために弾く”
ワルツ嬰ハ短調Op.64-2
舟歌 嬰へ長調 Op.60
ワルツ ロ短調 Op.69-2
ノクターン ロ長調 Op.9-3
幻想ポロネーズ 変イ長調
即興曲 第1番 変イ長調 Op.29
前奏曲 変イ長調 B.86
ワルツ変イ長調Op.34-1
リストは何千人もの人に聴かせる様に弾くが、 私はただ一人の人に聴かせるために弾く。
あそこのペダルはどうするのだろう?
個人的に印象が強かった幻想ポロネーズ
全体がひとつの流れとなっていたので、1曲ずつについてコメントする気になれない演奏会でしたが、私にとってとても印象的だったのは幻想ポロネーズでした。
この曲がショパンコンクールの課題曲になっていた2010年の審査員のひとりが(ポーランド人だけどヤシンスキではなかった、パレチニのような記憶がある)
幻想ポロネーズはポーランドの歴史そのものです。
と語っていたのですが、その意味が腑に落ちるような演奏でした。
それを言葉で説明するのは難しく、心象として歴史絵巻が繰り広げられるようでした。
想いを込めた演奏ってどうなんだろう?
この日のババヤンの演奏について、あの曲がどうのこうのと言うのは野暮でしかなく、その時間を文字通り”至福の時”として過ごしたのですが、備忘録としてテクニックについてメモしておこうと思います。
とにかく、響きが美しい。ピアノはファツィオリでしたが、一般的に言われる明るい響きという以上に、透明でクリアでそれでいて優しいのが印象的でした。
過剰なffもなければ、か弱いppもなく、感情を爆発させることもなく、眉間に皺を寄せて陶酔するでもなく、極めて冷静かつ上品で、だからこそ人の心に真っ直ぐに届き、染み渡っていく・・・という感じでした。
上半身はほとんど動かず、前腕も左右にスライドするだけ、指の動きも必要最小限。
こういう演奏に接すると、感動的な演奏というのは想いを込めることではないということを改めて考えさせられます。。。
プログラム|セルゲイ・ババヤン ピアノリサイタル
セルゲイ・ババヤン ピアノリサイタル
【プログラム】
ポロネーズ 嬰ハ短調 Op.26-1
ワルツ嬰ハ短調Op.64-2
舟歌 嬰へ長調 Op.60
ワルツ ロ短調 Op.69-2
ノクターン ロ長調 Op.9-3
幻想ポロネーズ 変イ長調
即興曲 第1番 変イ長調 Op.29
前奏曲 変イ長調 B.86
ワルツ変イ長調Op.34-1
<休憩>
マズルカ
嬰ハ短調Op.6-2
嬰ハ短調Op.63-3
ヘ短調Op.63-2
へ短調Op.7-3
変ロ短調Op.24-4
変ロ長調Op.7-1
ト短調Op.67-2
ハ長調Op.67-3
イ短調Op.67-4
イ短調Op.68-2
ヘ長調Op.68-3
変ロ長調(遺作)
変ホ短調Op.6-4
変イ短調Op.41-4
ハ短調Op.30-1
ロ短調Op.30-2
ロ短調Op.33-4
ハ長調Op.56-2
ワルツヘ長調Op.34-3
アンコール:ラモー 鳥のさえずり
2019年12月10日(火)19:00開演
武蔵野市民文化会館 小ホール