フランス人が弾くベートーヴェン|ラ・フォル・ジュルネ2023

4年ぶりの開催となったラ・フォル・ジュルネ、エル=バシャのリサイタルを聴こうと意気込んでいたのに、以前の感覚でのんびりしていたら気づいた時にはチケット完売(泣)

これはピアノ仲間のイベントで弾けということね、と4月半ばから四半世紀ぶりにシューマン『子供の情景』を解凍し、何とか弾き終えたら望外に反応がよく、イタリアンで紅白ワインで打ち上げして、ご機嫌で帰宅して、ハーゲンダッツ片手にルパン三世『カリオストロの城』を見ていたら「明日10時のチケットがあるんだけど」とメールが飛び込み、思いがけずケフェレックのベートーヴェンOp.109, 110, 111を聴きました。

♪この記事を書いた人
Yoko Ina

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新鮮過ぎて衝撃だったケフェレックのベートーヴェン

このプログラムで過去にレーゼルはじめ3人くらい聴いているのですが、いずれも聴くのに精神力と体力要る大仕事だったので、そのつもりで朝食もりもり食べて張り切って出掛けたら、あにはからんや、癒し効果抜群、良い意味で心地よく、寝落ちする人続出というサプライズ。。。

子供時代にケンプとバックハウスでベートーヴェンに接し、その後シュナーベルに傾倒し、レーゼルやエル=バシャを敬愛する私には何が何だか頭がぐちゃぐちゃになるような衝撃的なベートーヴェン。。。

しかし、正直な感性はこの極めて心地よい演奏の魅力に抗えず、催眠術にかかったかのようにリラックス。。。

と同時に、えっ、一楽章ヴィヴァーチェより二楽章プレストが遅い?えっ?!そこスラー違うじゃん‼︎(Op.109)

嘆きの歌がまるで愛の囁き、続くフーガの至福感、このフーガはこんなに安らかなんだっけ???(Op.110)

軽やかに飛び跳ねるような一楽章、アリエッタの、まるでシューマンを聴いているような夢想感(Op.111)

美しくていいんだけど、
楽しいんだけど、
心地よいのだけれど、
でも、でも、
これはベートーヴェン?
こういうベートーヴェンあり?

フランス人の弾くベートーヴェンは日本では認知されていない

そういえば、フランス人の弾くベートーヴェンってほとんど聴いていない事に気づき、少しぐぐってみました。

まず目を引いたのは青柳いづみこ先生の記事。

ルフェビュールのベートーヴェンはフランスでは定評があるが、そもそもフランス人の弾くベートーヴェンは日本では認知されていない。イヴォンヌ・ルフェビュールと審美眼より引用

記事中で紹介されているルフェビュールの弾く第31番Op.110がこれ↓

フランス人ピアニストと言えば、コルトー大先生。
ショパン、シューマンetcの名演で知られますが、なんとベートーヴェンも色々弾いています。
悲愴、月光、熱情、25番、告別↓

コルトー先生に続いてサンソン・フランソワ。
ショパン、ラヴェルetcの名演あふれるサンソン・フランソワも悲愴、月光、熱情など弾いています↓

シューマンの名演が印象的なイヴ・ナットもフランス人ですが、彼のベートーヴェンは日本のピアノ教育に染まった耳にもかなり落ち着いて入ってきます。イヴ・ナットは全集を録音しています。

考えてみれば、ベートーヴェンだけじゃないですが、何かにつけて“かくあらねばならぬ”と教え込まれたり、また、声高に叫ぶ人が多い中で(今も昔も?)それを盲信しないまでも、疑うというか、可能性を探すというのは大切だなと思いました。

芸術には、時に明らかな間違いはあるかもしれない、けれど、唯一絶対に”正しい”は存在しませんよね。。。

ともあれ、GWはやはりラ・フォル・ジュルネですね。

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