ピアノを弾く人はみんな、
上手くなりたい!
と思っているでしょう。
”上手くなる”をひと言で要約するなら、
音で豊かな世界や物語を
思い通りに自由に表現すること
ですが・・・
では、上手くなるためにはどうしたらいいのか、
考えてみましょう。
ピアノを上手くなりたいってみんな思っているけれど上手くなるってどういうことだろうの続編です。
ピアノ演奏は音楽・ピアノ・奏者の幸せな関係から生まれる
ピアノを上手くなるということは、
ピアノという楽器で
奏者の指(身体)で
豊かな音楽を生み出す
ということ。つまり、
- 音楽
- ピアノ
- 奏者=人間
この3つのよい関係を築けばいいということになります。
音楽とピアノと奏者の幸せな関係を考えてみましょう。
音楽って何?
いきなりですが、
音楽って何でしょう?
答えられますか?
改めて問われて考え込んでいませんか?
・・・学生時代に(飲みながら)この話題で盛り上がったことがありました。
ある人は、
音楽は愛だ!
と言い、またある人は
音楽は美だ!
と言いました。
その時、私は、
音楽は愛でも美でもあると思うけれど、何だろう・・・
とはっきりした答えを出すことができず、折に触れてず~~~~~っと考えていました。
そして、近年(2018年頃のことです)降ってきました。
音楽はミクロコスモス、宇宙だ!
・・・この質問に正解はありません。
自分にとって音楽は何かということを考え続けるのはとても大事なことです。
聴いていて「いいな~、上手いな~」と感じる演奏をする人は、イメージがはっきりして説得力があります。
音楽って何?|インプットしなければアウトプットできない
音楽とは何かを考えるためには、インプットが必要です。
演奏はアウトプット!
インプットなくして、アウトプットなし!
です。
音楽のインプットはあります。
- 音楽を聴く
- アカデミックなインプット
この2つがあります。
音楽を聴く|音楽のインプット1.
上手くなるために絶対必要なインプットは何と言っても
音楽を聴く
しかも、
色々な音楽を上質のライブで聴く
ことです。
ピアノはひとりで演奏できてしまう楽器で、
かつ、
ピアノ・ソロのための曲が膨大にあって、
そして、
魅力的な曲はもれなく難しくて、
譜読みにも練習にもそれなりに時間がかかる・・・
ということで、ついつい部屋にこもってピアノにかじりついて練習に励む人が多いのですが・・・
そもそも、ピアノがひとりで演奏できるのは、
ピアノはひとりでアンサンブルをしている楽器だからです。
ということは、アンサンブルとは何かを知らなければなりません。
すなわち、室内楽、管弦楽、声楽・・・
色んな音楽をインプットしてこそ、ピアノ演奏のイマジネーションもふくらむというものです。
ピアノの作品だけでなく、色んな音楽を聴きましょう。
Youtubeで何でも聴くことができる現代ですが、ライブのリアリティが絶対に必要です。
ライブをたっぷり蓄えていれば、YoutubeやCDなどを聴いてある程度は実際の響きを想像することができるかもしれません。
鑑賞を楽しむ人ならともかく、自分でいい演奏をしたい人は、スピーカーやイヤホンで聴くのは参考のため。
ライブで聴くもの、感じるものこそが音楽です。
事情の許す限り、上質のライブの演奏を聴きましょう。
アカデミックなインプット|音楽のインプット2.
音楽のインプットとして、アカデミックなインプットも必須です。
たとえば、
- 音楽史
- 作曲家について
- 作品の成立について
- 楽式
- 和声・対位法
- アナリーゼ
- ソルフェージュ
- ・・・
自分が今弾いている曲のことだけでなく、広く音楽全般、そして教養大事。
アカデミックなインプットを楽しみましょう。。。
ピアノ|道具を知らずに使いこなすことはできない
音楽とは何か?
その作品は何を表現しているのか?
考え、深めて、それをピアノで表現するのが演奏。
鍵盤を押し下げれば、誰でも簡単にピアノの音が鳴ってしまうために、とかく指を動かすことばかり考える人が多いですが・・・
楽器は道具です。
道具を知らずに使いこなすことはできません。
ピアノの音が鳴る仕組みを知らないでピアノを弾くことはできない
ピアノは簡単に音が鳴ってしまい、しかも楽器の仕組みが複雑なので調律・整調・整音には腕のよい調律師さんにお任せするしかありません。
なので、ピアノの音が鳴る仕組みについてあまり考えることなく鍵盤を押し下げてただ弾くことに夢中になりがちですが、
ピアノの音が鳴る仕組みを知らないで上手くなることはできません。
ピアノの音が鳴る仕組みはこの記事で書きましたのでぜひ読んでみてください。
・・・で、ピアノの音が鳴る仕組みを、理屈として頭で理解しているだけでなく、身体感覚として適った弾き方をしなければ、ピアノは性能と真価を発揮してくれません。
そして、ピアノの可能性を広げてくれるのは、ピアノに何を求めるかにかかっています。
だから、インプットが大切なのです。
人もそれぞれ、ピアノも色々・・・
ピアノについてはもうひとつ。
それは、ピアノはメーカーや機種によって特性があり、さらに個体差もあります。
たとえば、スタインウェイとファツィオリは、まるで違うコンセプトで作られているので、同じ調子で弾くとなんか上手く弾けないということになります。
こだわりすぎるのも問題ですが、知っていれば対策を立てて練習することもできるし、プログラムにも反映できます。
そのためには、やはり
色んなピアノを弾いてみること
これに尽きます。
奏者|自分を育てるために3つの練習をしよう
さて・・・
素晴らしい音楽(作品)が沢山あって、
素晴らしいピアノも沢山あり、
演奏されるのを待っているばかり。
そして、演奏する気満々な自分がいるのですが・・・
”上手くなる”ための練習は3つやりたいです。
それは、
- 基本的なテクニックを高める練習
- 譜読み~弾けるようになるための練習
- レパートリーとして深めていく練習
です。
基本的なテクニックを高める練習
スケール・アルペッジョ、オクターブなど基本的なテクニックが十分にあればあるほど、短時間(短期間)の練習で弾けるようになります。
スケールが苦手なら、
曲の中でスケールが出てくる度に
練習しなければならないし、
オクターブが苦手だと、
オクターブが出てくる度に、
苦労することになります。
基本的なテクニックは日々の積み重ねで必ず上達します。
毎日の練習メニューに必ず組み入れましょう。
譜読み~弾けるようになるための練習
練習の大半を占めるのはこの練習でしょう。すなわち、
新しく譜読みをはじめて、難しいフレーズを克服して、演奏に仕上げる練習です。
別のところで近いうちに書きますが、譜読みも弾けるようになるための練習もやり方次第です。
レパートリーとして深めていく練習
”上手くなりたい!”
には、聴いてくださる方々に喜んでもらいたいという想いもあると思います。
演奏した後に「よかった・・・」などお言葉をいただくのは本当に嬉しいし、練習の苦労も吹っ飛ぶというもの・・・
特に、知らない方から声をかけられる時の嬉しさ、それを機に親しくなることも珍しくありません。
こういう時、音楽ってなんて素晴らしいのだろうと思うし、ピアノを弾くことができてなんて幸せなのだろうと思います。
そのためには、やはり時間をかけて熟成させるという練習が必要です。
すなわち、レパートリーとして深めていく練習です。
「ピアノの曲は沢山あるし、弾きたい曲が沢山あるから、1度弾いた曲はもう弾かない」という方もいらっしゃいますが、(人前で)何度も弾いてこそ育つものがあります。
時間をかけてこそ育つ表現は、結局新しい曲を練習する時にも反映されます。
そもそも、私たちが参考にするYoutube音源にしろCDにしろ、もちろん演奏会も、演奏家になるべく生まれてきた人たちが数十年間にわたって数十回弾いているものです。
それを聴いて感動して、「あんな風に弾きたい!」と思ってそれが一朝一夕に実現すると思う方がどうかしています。
お気に入りの曲は、折に触れて楽譜を見直し、新鮮な気持ちで練習することで作品の本質に近づいていけるようにしていきたいものです。
まとめ
上手くなるためにはどうしたらいいか、考えてみました。
まとめましょう。
- いい音楽、色んな音楽を聴き、音楽全般・教養色んなインプットをする
- ピアノという楽器を知り、色んなピアノを弾く
- 練習は3つ
i 基本的なテクニックの練習
ii 譜読みから弾けるようになる練習
iii レパートリーとして深める練習
常に、
音楽って何だろう?
と考え続けましょう。
そうすれば、”練習のための練習”に陥ることはなくなります。
音楽は聴いてくださる方がいてこそです。
聴いてくださる方と音楽を共有するための練習です。。。