「ショパンー200年の肖像」展を観てきました

待ちに待った「ショパン=200年の肖像」展に行って来ました!

日本とポーランドの国交樹立100周年を迎えた2019年10月に兵庫県立美術館で始まり、福岡を経由して4/26から東京・練馬区立美術館で開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言で延期・・・

ようやく6/2にオープン、ラッキーなことに午前中がフリー、ここで行かないでいつ行くのだ! ショパンラブなピアノ弾きには必見ですが、一般には「ふ〜ん・・・」であろうこのイベント、おかげで“密”になる事なくゆ〜っくり鑑賞できました。

とても興味深かったので、メモしておきます。

♪この記事を書いた人
Yoko Ina

音楽&ピアノ、自然、読書とお茶時間をこよなく愛しています

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日本・ポーランド国交樹立100周年記念「ショパンー200年の肖像」展

「ショパンー200年の肖像」展は、日本とポーランドの国交樹立100周年を記念してポーランドの国立フリデリク・ショパン研究所運営のフリデリク・ショパン博物館所蔵の美術作品や資料を中心に自筆譜や絵画ポスター、彫刻、書籍など約250点を集めた展覧会です。

ふつー、美術館にはBGMはないですが、そこはショパン展!音楽なしでショパンは語れないですよね。 ショパンのワルツ、エチュード、即興曲・・・などが流れる中でショパンゆかりの作品や自筆譜・自筆の手紙に接していると、時空を超えてショパンをより肌で感じられるようなとても満ち足りた時間でした。

スタインウェイ社のスクエアピアノ。

ホントなら、このピアノで川口成彦さん(2018年第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクール2位入賞)によるコンサートが開かれる予定でしたが、三密を避けるためすべての関連イベントが中止になってしまいました。

フレデリック・ショパンではなく、フリデリク・ショパン

日本ではショパンのファーストネームを〈フレデリック〉と読んでいますが、ポーランド語的には〈フリデリク〉との事。

この展覧会関連の表記は フリデリク・ショパン(Fryderyk Chopin ) で統一されています。 ・・・しかし、ファーストネームを〈フリデリク〉とするなら、ショパンも〈ショペーン〉にすればいいのにと思ったのは私だけでしょうか?

全5楽章で200年のショパンを紹介

「ショパンー200年の肖像」展は全5楽章構成で、”ショパンの200年”が紹介されています。

第1楽章 わたしたちのショパン
第2楽章 ショパンを育んだ都市ワルシャワ
第3楽章 華開くパリのショパン
第4楽章 真実のショパン―楽譜・手紙―
第5楽章 ショパン国際ピアノコンクール

展覧会の構成ってホントに大切だといつも思うのですが、今回の展覧会の構成もとても素晴らしくショパンの200年を堪能しました。

全体を通して私にとって興味深かったのは2点です。すなわち、

  • 画家達が見た、感じたショパンという人
  • エチュードOp.10-8の“自筆譜”から感じたこと

画家達が見た、感じたショパンという人

実際にショパンと交流のあった画家達の描いた肖像画が何枚もあり、それぞれのオリジナリティを楽しみつつも、共通するものから浮かび上がるショパン象に、リアルショパンを肌で感じる想いでした。

それらの絵から私が感じた“ショパン”を一言で言うなら、 美しい薔薇には棘がある です。

ショパンの作品は世界中で広く親しまれ、大人気ですが、彼自身は親しみやすいとか、まして庶民的などという雰囲気は全くありません。

誇り高く、高貴で気品高く、頭も切れて、繊細ゆえに無神経な人には耐えられず、不用意に近づく者には“ペンは剣より強し”ならぬ“口は剣より強し”的一撃もあっただろうと想像します。

まあ、当然ですよね、異国の地で亡命者として生きていて、自分が生き延びるだけでなく、祖国ポーランドの独立を信じそのために音楽家として生きたのですから。。。

画家達は、そんなショパンの”ただならぬ人物”感と同時に慰めようのない深い孤独を感じ、描いたと想像しました。

ちなみに、リスト、メンデルスゾーン、シューマン夫妻なども肖像もありまして、例えばリストは現代ならブロマイドさながらの“スーパースター”な雰囲気で描かれていて、画家の目と筆って面白いし凄いな〜と感嘆しました。

画家ならではの作品として、ショパンのプレリュードOp.28を1曲ずつ描いた作品がとても興味深かったです。

2人の画家の作品が別々のコーナーにありましたが、私としては、第1楽章のヴワディスラフ・ヤールの方により共感しました。

また、ショパンが生きていた時代にショパン縁の地を描いた絵画も感慨深いものがありました。当たり前ですが、時間の流れ方が現代(特に都会)とは全く違いますよね。

ショパンがサロンでピアノを演奏する情景を描いた作品からはサロンの雰囲気が伝わってきました。実際にその場にいた画家たちによる作品ではありませんが、“サロン”というものを知っている彼らが描く世界からはショパンの演奏がどのように響いたのか聴こえてくるようでした。

特に、ヘンリク・シェミラツキ:原画、ルードルフ・シュースター:版画『アントニ・ラジヴィウ公のサロンのフリデリク・ショパン、1829』が印象に残りました。

これから、ショパンを弾く時にはこの絵の雰囲気をリアルにイメージして弾きたいとさえ思いました。

エチュードOp.10-8の“自筆譜”から感じたこと

日本初公開として今回の展覧会の見どころのひとつでもあるショパンのエチュードOp.10-8自筆譜ですが・・・ ちょうどこの自筆譜の前にいる時に館内BGMでこの曲が流れてきて、楽譜を追いながら聴くことができました。

”テンポ”で眺めているとアクセントやクレッシェンド・ディミヌエンドなどの「書き方」からショパンの中に鳴っていた音楽が感じられるようでなんとも感慨深く、日頃使っている印刷された楽譜を見る時の“見方”や“考え方”がぐっと深くなりそう、というか、もっと楽譜から作品の世界へと奥へ入り込めそうな気がします。

いや、入り込まないとダメじゃんと思いながらしばらくその前にいました。

オンラインで芸術は無理

3月頃からの外出自粛、美術館は閉館、演奏会は中止・延期となり、練習会さえ開催できないこのご時世、芸術・文化は不要不急なのか?という声も聞こえますが・・・ 仕事はオンラインでOK(な職種・業務内容もある)かもしれませんが、芸術は絶対無理、リアルでなければダメだと改めて思いました。

絵画も音楽も臨場感が命だと思うのです。ただ”モノ”であるだけでなく、そこから生まれる(発している)”何か”こそが芸術の本質で、それはネットや本やCDやDVDでは絶対に伝わりません。

早くホールで演奏を聴きたいと心底思います。。。

とにかく、ショパン好き必見ですよ。 ぜひどうぞ‼︎

概要「ショパンー200年の肖像」展

日本・ポーランド国交樹立100周年記念「ショパンー200年の肖像」展

会期: 2020年6月2日(火)~6月28日(日)(月曜日休館)
開館時間: 10:00~18:00※入館は17:30まで
観覧料: 一般1,000円、高校・大学生および65~74歳800円、中学生以下および75歳以上無料
会場: 練馬区立美術館

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