電子ピアノでもOK?|ピアノを弾きたいと思ったら楽器を買う前に知っておきたいこと

ピアノを弾きたい!

そう思った時に身近にピアノがあれば問題ありませんが、そうでなければまず練習のための楽器をどうするかを考えなければなりません。

日々の練習の目指すところは、お客様が聴いてくださるところで弾くことなのでホールやサロンに置かれたフルコンやセミコンを弾くことを想定して練習することになります。

初心者のアタシには関係ない・・・

いえいえい遠慮しないでください。人前で弾いてこそ!です。人前で弾いてみてはじめて、ホントに、骨身に沁みるほど、イヤと言うほど

練習が大事!

ということがわかります。

だから人前で弾く機会を持ちましょう。そのためにはやはり日々の練習もグランドピアノで出来るのが一番いいですが、なかなか難しいのが現実です。

ということでピアノの楽器問題を考えてみました。

この記事を書いた人
伊奈葉子 / Yoko Ina
音楽と自然と読書とお茶時間をこよなく愛するピアノ弾き ⇒プロフィール

優先順位はグランドピアノ>アップライトピアノ>電子ピアノ

まず理想を語ると、日々練習する楽器の優先順位は

  1. グランドピアノ
  2. アップライトピアノ
  3. 電子ピアノ

です。

グランドピアノが絶対にいい理由は音が鳴る仕組みがグランドピアノとアップライトピアノでは違うからです(参考までにKAWAIのサイトから。なんでKAWAIかというとうちのピアノがKAWAIだから何となくです)。

グランドピアノとアップライトピアノの違い|ピアノ購入サポート|お客様サポート|河合楽器製作所 製品サービスサイト
ピアノの選び方や各製品の特長やその違いなど、ピアノを購入するための情報を各種ご案内いたします。

リンク先に音が鳴る仕組みの違いが図解してありますが、だから何なの?よくわからない・・・という方が多いことでしょう。難しいことはさておき、要するにこの違いが

弾き心地の違い

になります。

弾き心地の違いというのはとっても重要です。使い慣れたペン、スマホ、料理好きなら包丁やフライパンなど道具の使い心地というのはパフォーマンスに大きく影響します。ピアノの場合、弾き心地が違ったら上手く弾けないというのはとってもありがちなことです。

すなわち、普段アップライトで練習していていきなりコンサートグランドを弾くとその違いに戸惑います。それでなくても緊張している本番で普段と全く弾き心地の違う楽器を弾くのですから(ついでに響き具合も全く違う)結構大変です。冗談じゃなく生きた心地がしない事だってありますよね、ピアノ弾きのみなさん。。。

じゃあ日々グランドピアノで練習していれば本番で戸惑わないのかと言われるとそういうわけにも行きません。ホールに置かれたスタインウェイのフルコンと国産の家庭用の小さなグランドピアノでは、もう同じピアノと言ってもいいのか?と思うくらい違います。そこがフルートやヴァイオリンのように自分の楽器を持ち運べないピアノの特殊事情なのですが、その話は別の機会にして、とにかくグランドピアノとアップライトピアノとでは音が鳴る仕組みが違うので事情が許すならグランドピアノがいいです。

ちなみに、180cmくらいのグランドピアノなら6畳の部屋に十分置けます。ただし、どうやって部屋に入れるかは購入前に確認しておきましょう。大きなベッドなどでも買ったのはいいがドアより大きくて部屋に入れられないという笑えない話があるようですので・・・

サイレントピアノはおすすめできない

グランドピアノがいいと言われてもあんな大きなものうちに置けないというのも日本の住宅事情です。大きくて場所をとるだけでなく、大きな音が鳴ることがより深刻な問題です。

昨今都市部ではアコースティックピアノを置くなら防音対策必須だと思います。

賃貸・分譲マンションで規約「ピアノ可」となっていても、それは

「ピアノを置いてもいいですよ」

という意味であって、

「演奏してもいいですよ」

と同義ではないと思った方がいいです。

集合住宅はもちろん戸建てでもご近所関係大切、近隣に迷惑をかけないというのは最低限のマナーですから、

「うるさい!」

と苦情を言われたら、もう弾けません。実際、音楽というのは聴きたい時に聴きたい音楽を聴くからいいのであって、静かに過ごしたい時に反復練習や何をやっているのかよくわからない音の羅列が聴こえてきたら、そりゃ

「うるさい!」

だと思います。

しかし、部屋を防音するのはかなりハードルが高いのも現実・・・

部屋が防音できないなら楽器の音を限りなく小さくしようということでサイレントピアノというのが登場しました。

結論から言ってですが・・・

今既にあるピアノをサイレントにするならともかく、

これから楽器を購入するなら、
サイレントピアノ(サイレント機能付きピアノ)は
おすすめできません。

理由は、サイレントにしてしまうともはや電子ピアノと変わらないからです。それならハイクラスの電子ピアノの方がいいです。

昼間はアップライトで深夜はサイレントで・・・という使い方があるじゃないかと思うかもしれませんが、昼間に練習できるなら深夜練習しなくて済むように工夫しましょう。そもそも深夜は寝る時間です。

ともかくサイレントで弾かなければならないなら電子ピアノで十分です。

話はそれますが、防音について、マンションの一室であるうちの八畳ほどのピアノ室はアコースティックエンジニアリングで施工しました。〈防音〉だけでなく〈音響〉も考えられていてとても満足しています。知り合いにも紹介していますが皆さん大満足されています。

スタジオ音響設計・施工|株式会社アコースティックエンジニアリング
防音工事、音楽家音楽制作者の為の音響設計コンサルティングをする会社です。お客様のイメージ及び現場状況にフレキシブルに対応、対話による自在なデザイン提案力音響相談力により防音工事を超えたハイクウォリティな音響空間を驚くほどリーズナブルな工事費用で提供。

電子ピアノは驚くほど進化していた

私は電子ピアノというものにほとんど触れたことがなかったのですが、生徒さんの中には電子ピアノで練習されていてオンラインレッスンも電子ピアノという方がいらっしゃるので、電子ピアノってどんなものかと楽器店を歩いてみました。

果たして・・・

いやはや電子ピアノの進化ぶりに驚きました。

一番驚いたのは、CASIOから出ているGP-510BPに代表されるシリーズです。

GP-510BP | CASIO

CASIOはピアノメーカーではないのでピアノについてのノウハウはありません。ないならある所と協働すればいいじゃないかということでドイツの名門ベヒシュタインと作り上げたのがこのシリーズです。

鍵盤もベヒシュタインのグランドピアノの鍵盤と同じ材質、電子ピアノの最大の問題点であるタッチもグランドピアノのタッチをできる限り実現すべく工夫が凝らされています。音もかなりいいです。かなり頑張って善戦しています。

電子ピアノもここまで来たのか!?

思わずうなりました。少し前に電子ピアノもこうなっていればな~と思っていたことがそのまま実現されています。

一番驚いたのは、タッチの感触です。従来の電子ピアノは鍵盤が底に到達した時に音が鳴るようになっていて、それが難点でした。

しかし、このモデルではグランドピアノと同じように鍵盤が底に着く前に音が鳴ります(そう感じられます)。これは本当に重要な問題でピアノというのは鍵盤を底まで下げる必要がないからこそ可能なテクニックが沢山ありますが、このシリーズならかなりいい線でそれっぽい感触が得られます。他のピアノメーカーからも同種のコンセプトで作られた機種がありますが、鍵盤の動き方=タッチの感触が今ひとつです。このCASIOのシリーズはホントに凄いです。

ともかく、グランドピアノはもちろんアップライトピアノだって置けない、あるいは音を出して練習できないならサイレントピアノよりこのクラスの電子ピアノです。

練習は自宅の楽器だけでする必要はない

理想から述べましたが、楽器は自分の状況に合わせて事情の許す範囲でよりベターな選択をすればいいんです。既に電子ピアノをお持ちの方はとにかくその楽器で練習すればいいし、アップライトがあるけれど音は出せないならサイレントにするという選択肢もありでしょう。

もうひとつ、これは大都市圏限定になるかもしれませんが、うちに楽器がなくてもレンタルスタジオで練習するという選択肢もあります。

そもそも毎日30分か1時間練習できるかできないか・・・みたいな状況なら、家に楽器を置かなくてもいいんじゃないかと思います。

楽器を弾く時間はもちろん必要ですが、楽器を弾かないで出来ること・やるべき勉強は沢山あります。家に楽器があっていつでも練習できるからとダラダラと弾き散らかしているより限られた時間で集中して練習するよりも効果的ということもあります。

実際、「グランドピアノと電子ピアノじゃ全く違うから」と自宅には楽器を置かず、グランドピアノのスタジオを借りて練習している人に出会ったことがあります。また、平日忙しいサラリーマンの方々の中には平日は電子ピアノでちょっとor全く弾けない、休日はスタジオやホールのグランドピアノで練習や弾き合い会という方も沢山知っています。みなさんメチャうまです。。。

ピアノはヴァイオリンやフルートと違い、自分の楽器を持って歩けないし本番はそこにある楽器を弾くしかありません。色んな楽器で本番をやらなければならないなら、普段から色んな楽器に触れておくというのはとても実践的です。

いい楽器を持っていることと上手いかどうかは別問題

いい楽器が自宅にあって日々練習できるのが理想には違いありません。しかしいい楽器を持っていることと上達するかどうかは別問題です。

楽器の話で思いだすのは、1980年のショパンコンクールでアジア人初の優勝者となったダン・タイ・ソンです。ベトナム出身の彼はベトナム戦争中には月明りで紙鍵盤で練習したとか、防空壕に置かれたねずみの糞にまみれた音もろくに鳴らないようなピアノで練習していたとか、伝えられています。そんな時期を経てモスクワ音楽院に留学しての快挙だったのです。

2005年ショパンコンクールで優勝したラファウ・ブレハッチは2003年浜松国際ピアノコンクールに参加が決まった時アップライトで練習していました。それを知ったワルシャワ市が「国を代表してコンクールに参加するのにそれでは気の毒・・・」と2か月間グランドピアノを貸与、最高位(1位なし2位)の入賞賞金で初めて自分のグランドピアノを購入したそうです。

もっと身近でも、子供時代から今に至るまでいい楽器を持っていることといい演奏をすることは別の問題だと感じています。

私自身、子供時代にうちで弾いていたのは小さなオルガンで、レッスンに通うようになってからもその楽器で練習していました。チェルニー30番、バッハインベンション、ソナチネアルバムを弾くようになると鍵盤が足らなかったりペダルはどうするかとか、そもそもタッチで強弱はつかないなど色々問題はありましたがイマジネーションと工夫で何とかやっていました。ピアノを買ってもらったのは小学5年生の夏、秋の発表会でモーツァルトのトルコマーチを弾くことになった時です。親はさすがにオルガンじゃやばいと思ったのでしょう、あっという間にアップライトピアノがやってきました(笑)

つまり、モーツァルトのトルコマーチを弾くくらいまでオルガンで上達したってことなんですよね。自画自賛的で恐縮ですが子供が何とかしていたのですから大人に出来ないはずがないと思います。

結論|自宅に置く楽器=練習する楽器でなくてもよい

ではまとめましょう。

日々の練習の先にはやはり本番があります。というのも音楽というのは作品と弾く人と聴く人がいてこそ成立するものだからです。

ピアノという楽器はヴァイオリンやフルートのように自分の楽器を持ち運びできないので、本番ではそこにある楽器を弾かなければなりません。

日々練習している楽器とは違う楽器で本番をやらなければならないのですから、練習は練習と割り切って事情の許す限りベターな方法を考えましょう。

練習楽器の優先順位は

  1. グランドピアノ
  2. アップライトピアノ
  3. 電子ピアノ

ですが、それは必ずしも自宅に置く楽器とイコールである必要はありません。

普段から色んな楽器を弾くことはかなり重要です。たとえば、自宅には電子ピアノなら週1グランドピアノのスタジオをレンタルして1時間弾くとか、練習が進んで仕上げの段階になったらスタジオを借りてグランドピアノを弾くとか・・・考えましょう。

なお、サイレント機能付きのピアノは、サイレントにしてしまうと電子ピアノと変わりません。ゆえに今あるピアノをサイレントにするならともかく、これから購入するならハイクラスの電子ピアノをおすすめします。

電子ピアノは驚くほど進化しています。今やグランドピアノのタッチをこれでもか!というレベルまで追求した機種があります。たとえばCASIOGP-510BPです。

GP-510BP | CASIO

いい楽器が自宅にあれば便利ですし理想的ですが、いい楽器を持っていれば必ず上手くなるわけではありません。ダン・タイ・ソンやラファウ・ブレハッチの例は言うに及ばず、日々わずかな時間を捻出して電子ピアノで練習している忙しいサラリーマンの方々の中にもいい演奏をする人は沢山います。

弾きたいなら、とにかく、弾きましょう!!

道はそこからひらけます。。。

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