2月24日金曜日、プレミアムフライデーに華やぐ中、シャルル・リシャール=アムランが弾くショパン ピアノ協奏曲2番を聴きに芸劇へ行きました。
バッハ「G線上のアリア」でスタニスラフ・スクロヴァチェフへ哀悼の意を表する
実は、読売交響楽団の桂冠名誉指揮者だったスタニスラフ・スクロヴァチェフ氏がこの公演の直前2/21に逝去されました。
ホール入口にはこんな貼り紙。
バッハ管弦楽組曲第3番より「アリア」、通称「G線上のアリア」が演奏されました。
静かに曲が閉じ、拍手なく指揮者が袖に引っ込むという何とも厳かな時間。。。
「2位がいい」シャルル・リシャール=アムランの進化
ほぼ満席の会場の空気を、哀悼モードから演奏会モードへと華やかにしてくれたウェーバーの歌劇「魔弾の射手」序曲。
続いて、私のお目当てである、シャルル・リシャール=アムランの弾くショパン ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 作品21です。
2015年のショパンコンクールで、2位を望んでその通り2位になったアムランは、その選択(?)の正しさを証明するかのように洗練された素晴らしい演奏を聴かせてくれました。
ちなみに、昨年リサイタルを聴いた時のレポはこちら。
柔らかく、ふわふわ軽く、よく飛ぶアムランの音は広い芸劇のホールの隅々まで満たし、大きなテディベアに抱っこされているような夢心地になります。
かなり自由に揺らしているのも、気持ちよく、しかし節度があるので飽きない。
広げるところと締めるところ、緩急ドラマの作り方が巧みでとても面白い演奏となっていました。
コンクールの時はいい演奏でも、その後パッとしない演奏家が少なくありません。
そんな中で、聴く度に成長する姿を見るのはとても嬉しいものです。
指揮者のバルケとの相性もよく、意思疎通も良好で音楽がどんどん広がります。
欲を言えば、オケがもう少し洗練されていたら・・・
いやいや、格安の都民芸術フェスティバルなのですから、贅沢は言えません。
アムランを連れて来てくれただけで感謝しています。。。
アンコールには、バッハ チェンバロ協奏曲第5番より第2楽章「アリオーソ」
静かによく伸びる音で奏でられた美しい演奏は上質のシャーベットのように爽やかでした。
ミヒャエル・バルケに学んだ「現実に凹まない術」
休憩の後は、シューマンの交響曲第1番 変ロ長調 作品38 「春」。
こういう季節に合う選曲いいですね。
この曲で感動したのは、指揮者バルケ氏の強い意志です。
現実問題、率直に言って、この日のオケは最高級ではありませんでした。
色々とやってくれるし、決めるべきところで決まらなかったりと不満はあるわけです。
でも、バルケ氏はそんなことには気にも留めない様子で、あるべき理想の音楽を描くことに専心していました。
その姿に感銘を受け、彼の心象にある音楽に感動しました。
不満があると、やる気なくなることってありません?
私は、かなり影響を受けてしまう方です。
でも、それじゃあダメなんですよね。
環境がどうであれ、自分は落ちてはいけないのです。
理想の条件ではないからと現実に凹んでしまうことは、自分が負けてしまうということだなとバルケ氏に学びました。
オケのアンコールは、ブラームス ハンガリー舞曲第1番。
熱い演奏に、聴衆は大満足。
割れんばかりの拍手の中、会場は明るくなりました。
はじめての芸劇は、アムランとバルケのおかげで最高の夜になりました。
ありがとう~!!
2017都民芸術フェスティバル 公演情報
ピアノ:シャルル・リシャール=アムラン
指揮:ミヒャエル・バルケ
管弦楽:読売交響楽団
プログラム
ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲
ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 作品21
シューマン:交響曲第1番 変ロ長調 作品38 「春」
2017年2月24日(金) 19:00開演
会場:東京芸術劇場