結果よりお気に入り|第12回浜松国際ピアノコンクール

第12回浜松国際ピアノコンクールが2024年11月に開催されました。

前回第11回がコロナ禍で中止となったので、無事に開催されたのは何よりです。

国際コンクールは、世界中の色んなピアニストの様々な演奏を聴くことができる機会、私にとってはそれがコンクールを聴く意味です。

ということで、印象に残ったピアニストと演奏の備忘録です。

♪この記事を書いた人
Yoko Ina

音楽&ピアノ、自然、読書とお茶時間をこよなく愛しています

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ジョゼッペ・グァレーラ(Giuseppe GUARRERA )

今回、最も印象に残ったのは、ジョゼッペ・グァレーラ(Giuseppe GUARRERA/イタリア)が1次で弾いたバッハ=ブゾーニ/シャコンヌです。

昔々、このシャコンヌを弾きたくてヴァイオリンに熱を上げた私としては、ブゾーニ編にもブラームス編にも極めて冷ややかですが、グァレーラの演奏は、愛聴しているレオニード・コーガンの原曲の後で聴いても、聴き惚れてしまいます。

続くショパンOp.10-8とスカルラッティも素晴らしかったですが(泣)

すでに国際コンクール入賞歴もあり、来日しているようです。

これからも楽しみです。

ロマン・ フェディウルコ(Roman FEDIURKO)

ロマン・フェディウルコ(Roman FEDIURKO/ウクライナ)は2次でシューマンピアノソナタ2番3・4楽章の間にPresto Passionatoを演奏するという斬新な試み!私はとてもよいと思ったのですが(泣)

母国ウクライナの現状で、自分がピアニストであるという自覚や意味、責任を背負っている感じも心打たれるものがありました。

1次では持ち時間20分のところ7分もかかるバッハ平均律クラヴィーア曲集第2巻18番の素晴らしい演奏を披露。

かつては浜コン1次で平均律が課題でしたが、いつの間にかなくなりました。

個人的には、超絶技巧の難曲は鮮やかでも、平均律が微妙な人が多くて、一番差が出るのが面白かったのですけれどね~。。。

ヤン・ヴィドラッシュ(Jan WIDLARZ)

ヤン・ヴィドラッシュ(Jan WIDLARZ/ポーランド)の1次もとても印象に残っています。美しいショパン/ノクターン13番と3度のエチュードOp.25-6、スマートなストラヴィンスキー=アゴスティ『火の鳥』。

ブレハッチのショパンコンクール優勝当時にテイストが似ていると思ったら、やはり同じズィドロン門下。

2次もショパン/バラード4番は素晴らしく、ショパン中心のプログラムにしていたら、違った結果だったかもしれないと思います。

ポーランド人あるあるで、ショパンを弾く事やショパンコンクールで優勝(入賞)することを求められることへのささやかな抵抗もあるのかな~と思ったりしました。

ヨナス・アウミラー(Jonas AUMILLER)

ヨナス・アウミラー(Jonas AUMILLER/ドイツ)の1次~J. S. バッハ=ブゾーニ前奏曲とフーガ D major BWV.532は、The!ドイツ人という雰囲気の重厚でスキのない演奏に引き込まれました。

2次のシューマン/プレスト・パッショナートも美しく、ドイツ人のアイデンティティを感じました。

既にプロとして活動しているようですがこれからも楽しみです。

コルクマズ・ジャン・ サーラム(Korkmaz Can SAĞLAM)

コルクマズ・ジャン・ サーラム(Korkmaz Can SAĞLAM/トルコ)の2次、ショパン/舟歌とスクリャービンピアノソナタ第3番のしなやかで何か妖しさも漂う雰囲気に、もしやと思ったら・・・クリーブランドでセルゲイ・ババヤンに師事とあり納得。

既にCDデビューを果たしていて、これからも楽しみです。

コンクールなんてそんなもの・・・

いつも思うのですが・・・

コンクールファイナルのコンチェルトってソリストとオケの温度差が大きすぎるんですよね。加えて、日本のオケはそこまで露骨じゃないけれど、海外のコンクールだとお国柄にもよるのか、コンテスタントによるさらなる温度差があって微妙な事しばしば(笑)

まあね、オケにとっては(定期演奏会でもない)”お仕事”であって、人生かかっているコンテスタントと温度感が違うのは無理ないかもですけれどね。

・・・2005年のショパンコンクールから国際コンクールのネット配信を聴き続け、はや19年、かつては納得できない結果に本気で嘆き悲しみ、怒り狂ったりしていましたが、私が惚れ込んだピアニストはみんな結果に関わらず国際的に活躍しているので、心穏やかに結果を眺められるようになってきました。

コンクールである以上、”頂点を競う”ということになるとしても、一方で演奏は”みんな違ってみんないい”です。光が当たる上位者の陰に、決して彼らに比べて劣っているわけでも何でもない多くの真摯な素晴らしいピアニストがいます。コンクールは矛盾に満ちたイベント、聴けば聴くほど、踊らされたくないという気持ちが強くなっています。

結果は審査員が決めること・・・

どんな結果も

コンクールなんてそんなもの・・・

でおしまいにしたいものです(笑)

データ|第12回浜松国際ピアノコンクール

第12回浜松国際ピアノコンクール

【開催スケジュール】
第1次予選:2024年11月9~13日
第2次予選:2024年11月15~17日
第3次予選:2024年11月19~20日
本選:2024年11月23日~24日
入賞者披露演奏会:2024年11月25日

【場所】アクトシティ浜松

【公式HP】http://www.hipic.jp/

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