ピアノを弾くために
日々の練習は欠かせません。
しかし、頑張り過ぎて無理が重なると、故障するリスクも高まります。
弾けないほど故障しまうと、
快復への道のりは果てしなく遠く、厳しく、険しいですから、
故障は予防しなければなりません。
故障はミスユース×オーバーユースによって起きます。
ミスユース×オーバーユースに陥らないために、ピアノ弾き心得8ヶ条です。
心を鎮め落ち着いてピアノに向かう
疲れたら休むべきだし、すぐに出来ない事は分解して時間をかけて練習すればいい・・・
そんな当たり前の事を忘れて、やみくもに練習し無理・無茶をするのは
心がざわざわして暴走するから
ピアノに限らず、焦ったり、慌てたり、急かされたりすると正常な思考や判断が出来なくなり、思わぬ失敗をしてしまいます。
従って、
心を鎮め、落ち着いて弾く、練習する
これが、効率的な練習とパフォーマンス向上の前提です。
落ち着いて弾けば弾けるのに、焦ると弾けない・・・
というのは誰しも経験があることでしょう。
心を鎮め、落ち着くために最もお勧めなのが
瞑想です
心を鎮める事が出来れば、そもそも故障するような無茶な練習はしないはずですし、余裕あるスケジュールを立てられるはずです。
瞑想は心のトレーニング、毎日5分でも継続すれば本当に多くの恩恵にあずかる事ができます。是非!
集中力も持久力も身体から
本番はもちろん、日々の練習でも大切なのは、
集中力と持久力
です。
集中力や持久力は、メンタルの問題にされがちです。気合や根性が不要とは言いませんが、しかし、それは本当に最後の瞬間だけです。
バッテリー切れのスマホが何の役にも立たないように
集中力も持久力もエネルギー!
すなわち身体から生まれます!
体調がよくないと、集中力は落ちるし、練習効率も上がりません。
体調管理の基本はシンプルに3つです
- バランスのとれた食生活
~今日食べたもので明日の自分が作られます。 - 必要十分な睡眠
~すっきりした頭は睡眠から。暗譜も寝ている間に脳に定着。 - 適度な運動
~体力・全身持久力の向上。
特に、身体を動かす事が苦手な人ほど運動は大切、週1以上でのスポーツやダンス、ジム通いを強く推奨します。せめてウォーキングとストレッチは日課にしましょう。
ピアノ以外の事に没頭する時間は、身体のためだけでなく、音楽から距離を置いて新鮮な気持ちでピアノに向かうためにも極めて有効です。
毎日弾くピアノこそコンディションにこだわる
あまり話題にされませんが、
楽器のコンディションは大切です。
よく調整されたピアノで練習すれば、手に無用な負担がかかりません。
まず、鍵盤の重さですが
ピアノは、鍵盤を下げるのに必要な重さ40~50gで作られています。
1980年代以前の国産ピアノには60~65gに設定されているものもあります。重すぎるとやはり手に負荷がかかりますから、軽くした方がいいです。調律師さんに相談すればアクションを1~2週間預ければやってくださるはずです(費用もそれなりにかかります)。
鍵盤の物理的な重さだけでなく、コンディションにもこだわりましょう。タッチが鈍かったり、不揃いだったりすると弾きにくく不要な力みを生じやすいですし、調律も響きに影響しっます。
よい調律師さんに定期的に整えてもらいましょう。
また、あまりにデッドな部屋は不要に鳴らそうと頑張りがちで、やはり身体に負担がかかります。ご近所へも配慮しつつ、自分の心身への負担も考えましょう。
理想はよく調整されたグランドピアノで響きが良好な部屋で練習する事ですが、現実問題、なかなか難しいことでしょう。そういう場合は、
ホールでよく調整されたピアノならどう響くか
イメージしつつ、
今、物理的に不可能なところを自分で理解し、
過度に心身に負担をかけないように
留意しながら練習しましょう。
楽器や部屋の問題として鳴らないピアノを、頑張って鳴らそうとしても無理です。いたずらに自分に負担をかけるだけです。そこを納得して、出来る練習をしましょう。
日々の練習がなかなかよい環境で出来ない場合は、可能な限り、よいスタジオやホールのよいピアノで練習する機会を持つようにしましょう。
”ピアノを弾く身体”について知る
知っていれば無駄に悩まなくて済む事が沢山ありますが、ピアノを弾く自分の身体も例外ではありません。
知ってさえいれば、そんな身体に負担をかける弾き方はしないはず!そのためにおすすめなのはこの本です↓
”知る”は知識だけを学べばいいという事ではありません。
自分という存在の使い方を体得するという意味で、アレクサンダー・テクニークなどの心身メソッドもとても有用ですよ。
疲れる前に休む
世界一真面目な日本人の多くは、休む事を怠ける事だと勘違いし、休む事に罪悪感する抱いていますが・・・
休まずに弾き続け、
疲れても休まずに
弾き続けることこそ
ミスユース×オーバーユースの元凶です。
・・・筋疲労に伴い、筋肉の中にある感覚器(センサー)の感度が鈍っていくため、私たちは筋肉にどれだけ力が入っているか気づきにくくなっていきます。つまり、筋肉からの警告がどんどん聞こえなくなっていくのです。結果、知らぬ間に筋肉やその周りの腱が炎症を起こしたり、その筋に指令を送る脳に障害が発症するリスクが高まります。
疲れたら休む
ではなく
疲れる前に休む
自分の心身の状態を客観視して、無理無茶をしないようにしましょう。
上手くなりたくて練習するのですから、故障するような弾き方、練習の仕方は間違っているのです。
練習し過ぎで故障するというのは、美談でも何でもありません!
ピアノから離れる時間を持つ
ピアノが好きであればあるほど
勉強熱心であればあるほど
ピアノ漬けの生活になりがちです。
しかし、
常に新鮮な気持ちで
音楽・ピアノと接するためにも
心身の健康のためにも
ピアノから離れ、ピアノの事を忘れる時間を持ちましょう
たとえば、
スポーツやダンス、ジムはピアノを弾く身体のためにもおすすめです。
料理しかり、健康は毎日の食事から!です。
読書や絵画鑑賞(あるいは描く)、写真撮影、手芸・・・
とにかく、ピアノの事を忘れる時間は必要です。
音楽を聴くにしても、ピアノ以外の室内楽や管弦楽、自分が演奏する作品・作曲家以外を聴きましょう。
常に新鮮な気持ちでピアノに向かうために、とても大切な事です。
何より大切なのは音楽とピアノへの愛、作品への共感
本番が迫り、焦りが募ると、
”そもそも何のために練習するのか”
忘れがちです。
練習の目的は、
楽譜に描かれた音楽を
ピアノという楽器で実現し
聴衆と分かち合うため
ですよね。
何より大切なのは、
音楽とピアノへの愛、
そして作品への共感です。
毎日の練習のはじめに、この事を確認し、そして今日も音楽と共にあることに感謝しましょう。
そうすれば、きっと無茶はしないはずです。
まとめ|ピアノ弾きの故障予防心得8ヶ条
故障はミス・ユース×オーバーユースによって起こります。
痛みや故障と無縁にピアノを弾き続け、向上するための心得8ヶ条です。
- 心を鎮め落ち着いてピアノに向かう
- 集中力も持久力も身体から
- 毎日弾くピアノこそコンディションにこだわる
- ”ピアノを弾く身体”について知る
- 疲れる前に休む
- ピアノから離れる時間を持つ
- 何より大切なのは音楽とピアノへの愛、作品への共感
~♪~
どんなに好きで弾きたい曲があっても、目の前の本番がどんなに大切でも、故障したらゲームオーバー、本番どころか練習すらできなくなります。
故障するということは、それまで積み上げてきたものがガラガラと音を立てて崩れ落ち、廃墟と化す、そんなイメージだと思ってください。廃墟を再建すのは不可能な事ではありませんが、果てしない時間とエネルギーが必要です。
音楽を大切に
ピアノを大切に
作品を大切に
そして、何より自分自身を大切にして
ピアノと共に毎日を過ごし、そしてより素晴らしい世界を創造していきましょう。