普段は流行と無縁に生きている私もオンラインレッスンの波には抗えず・・・
2020年3月から既存の生徒さんたちにオンラインレッスン導入しました。やってみたら意外なほど使えるし効果的!
「はじめまして」から毎回のレッスンすべてがオンライン完結、3か月の〈私〉の感想をひと言でいうなら
制限があるからよりクリエイティブになる!
です。
やってよかったオンラインレッスン3か月の感想を全公開です。
大人のピアノ・オンラインレッスンをはじめようと思った理由
近年、忙しい本業のかたわら精力的に演奏活動している社会人ピアノ弾きが少なくありません。公私ともに充実していて人生経験豊かな彼らの演奏が人の心を揺さぶるのは至極当然で大人のピアノの醍醐味でもあります。
その一方で、ピアノを愛する気持ちは強く、時間を捻出して熱心に練習しているのに非常に苦労し悩んでいる方も少なくありません。
そんな方々の多くは、
知ってさえいれば
できるのに・・・
やり方さえわかって
練習すれば上達するのに・・・
ただ単に知らないからできないというケースがとっても多いんです。
そんな悩める真面目な大人のピアノ弾きのためにオンラインレッスンを始めようと思いました。
対面レッスンに通うのは難しくても、オンラインなら続けやすいですからね。
大人のピアノ・オンラインレッスンの目的
大人のピアノ・オンラインレッスンの目的は
楽譜から音楽を読みとること・ピアノの練習のやり方を身につける事
です。
練習しているのに思い通りに弾けないとかそもそも弾けるようにならないのは、勉強・練習の仕方に問題があるからです。それは、やはり段階を踏んで、時間をかけて身につけていくしかありません。
そういう勉強や練習はオンラインレッスンで十分出来ます。
制限があるからクリエイティブになる|オンラインレッスンをやってよかったこと
そんなコンセプトの大人のピアノ・オンラインレッスンについて生徒さんからご感想をいただきました。
冥利に尽きるご感想をいただき「そう、こういう方のためにオンラインレッスンをやろうと思ったの!音楽のある毎日やピアノを弾く醍醐味を知って欲しいと思ったの・・・」と感涙です。。。
先生サイドとして私がオンラインレッスンをやってよかったと思うことをひと言でいうなら、
制限があるからよりクリエイティブになる!
です。
具体的には、
♪ 良いところを見つけて育てることを今まで以上に意識するようになった
(対面の空気感がないのでバシっと指摘するとオワッテしまいそう)
♪ オンラインでも伝わるようにジェスチャーなどフル活用。リアクションを大きくすることでポジティブ・アクティブになった
(言いたいことをしっかり伝えることの大切さを再認識)
♪ 説明を工夫するようになった
(弾いて何となく伝わるというのがないので説明を工夫するようになり、より本質に切り込むレッスンになっていると思う)
【結論】
オンラインのデメリットを逆手にとることで、色んな点でクリエイティブになりレッスンが充実していてとても楽しいし、生徒さんの上達にもコミットできる。
オンラインという制限のある環境の中で、お互いに理解しようと努めるので集中度や密度の高いレッスンになり、クリエイティブになるし、レッスンが楽しくて仕方ありません。
オンラインレッスンのデメリット
オンラインレッスンで出来ることが沢山ある一方で、最大のデメリットはなんと言っても
実際にどんな響きがしているのか、想像するしかない
これに尽きます。
この問題はマイク&スピーカーを通す時点で起きることなので私は機材にこだわる必要はあまりないと考えています。そういうことが好きでやりたいならいいですが、それで演奏そのものがよくなるわけではありません。オンライン環境に馴染めない方は対面レッスンにした方がいいです。
ちなみに私は
PCに外付けマイク(SonicPortVX)
iVCamアプリでiPhoneをWebカメラとして使い
ZOOMでレッスンしています(Skype可)。
ZOOMはそもそも会議用で音楽レッスンを想定していないそうですが、今後レッスン用にもう少し音質がよいアプリができることを期待しています。
・・・で、レッスンに際しては手の動き(身体の使い方)とスピーカーから聴こえてくる音から実際の響きを想像していまして、多分そんなにかけ離れてはいないと思っています。というのは、コンクールなどライブとストリーミング配信の両方を聴いた経験値がかなり豊富なのと、こういう事が割と得意だからです(ドクターXの「私、失敗しないので」レベルではないとしても大きく間違っていないと思います)。
とは言え、やはり実際の響きを聴きくてドラえもんのどこでもドアを切望することしばしば(笑)
想像だけでは心もとないので、極力生徒さん自身に違いを感じてもらえるようにしています。そもそも生徒さん自身が自分の耳で聴いてわかるようにならないといい演奏になっていきませんからね。
具体的には例えばペダルなら2種類のペダルの使い方を試してもらい、その違いを自分で聴きとってもらう、ということをします。先生に言われて反応するより、自分でやってみて違いを聴きとる方が身に付くので実は本人のためかもしれないと思うことも多いです。
オンラインレッスンならではの問題
オンラインならではと問題として、PCやZOOMのあれこれで悩まされることがあります。
iPhoneをWebカメラとして使っていますが原因不明の無反応とか(再起動で解決)、ZOOMをバージョンアップしたら設定が変わってなんだか変とか・・・(ぐぐって解決)予期せぬことが起きたりします。
今のところ、レッスンに支障があるほどの問題は起きていませんが毎回ちょっとドキドキします。。。
こういうドキドキを許容する、臨機応変に対応するというのも含めてオンラインレッスンだと思います。
先生といえども生徒の演奏に介入すべきではない|オンラインレッスンをやってみて痛感したこと
音楽は音の芸術、リアルで実際に聴かなくちゃわからないのだからオンラインレッスンなんか無意味だ!という方もいらっしゃると思います。
じゃあ対面レッスンならみんな美しい響きで立派に弾けるようになっているのでしょうか?
・・・もしもそうなら、先生も生徒も悩みませんよね。
そこで想うのですが・・・
演奏というのは作品と演奏者とピアノの関係から生まれるもので、先生と言えども介入すべきではないし、介入できるものではない
ということです。
ピアノレッスン〈あるある〉の
「ここはもっとfで!」
「もっと歌って!」
「etc・・・」
とガンガン言われて一生懸命反応して挙句に「そこはpp!」など先生の声が聞こえてきそうな演奏になる・・・ということはオンラインレッスンでは起きにくいと思います。対面レッスンだったらもっとプッシュしているかもしれない状況でもオンラインで同じことをしたら全く伝わりません。そういうやり方を完全に封じられた状態に置かれると嫌でも工夫するようになり、その結果、
演奏ってその人自身の世界であり、その人自身の音楽的成長の証だということを痛感します。
動物に芸を仕込むのとは全く違うんですよね。
レッスンはその成長をサポートすることに徹するしかないということをひしひしと感じます。。。
そんなオンラインレッスンでのシューマン『トロイメライ』をお聴きください(了承をいただいてアップしています)。
「はじめまして!」から毎回のレッスン全てがオンライン、譜読みから始めて2か月の演奏です。
一生弾き続けられる小品を弾きたいとの希望で選んだ最初の1曲。
(細かいことを言えばキリがないとして)作品への想いや、その世界を自ら表現しようとしていることが伝わり、聴いていてとても気持ちよいです。今後さらに味わい深くなっていくだろうと楽しみにしています。。。
・・・ピアノを弾くのは決してやさしいことではありません。
それでも、
ピアノが好きで、
弾きたいと願うなら、
上達にコミットする勉強・練習が必須です。
ちゃんと勉強・練習してこそ、
ピアノを弾くってどういうことかわかり、
音楽の世界を遊ぶことができます。
そこへの道案内が私の仕事だと思っています。
